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新羅王朝による東アジア仏教建築の傑作
韓国の南東部にある吐含山(トハムサン)には、8世紀、新羅王朝の首都・慶州で栄えた仏教建築の傑作が残されています。新羅王朝中期に宰相の金大城によって建てられた、石窟庵(ソックラム)と仏国寺(プルグクサ)です。石窟庵は前世の父母のために、仏国寺は現世の父母のために建立されたと伝えられています。これらの建築物は、新羅王朝が栄えた時代の仏教建築の象徴であり、仏教の教えと精神が色濃く反映された場所でもあります。さらに、優れた石工技術の発展を証明する傑作であり、その精巧な造りは今日に至るまで多くの人々を魅了し、東アジアにおける仏教文化の重要な遺産として高く評価されています。
東アジアの仏教建築の最高傑作のひとつ「石窟庵」
吐含山の山頂付近に位置する石窟庵は、斜面に白い花崗岩を積み上げた人工の石窟で、ドーム状の天井と入口の廊下には、360枚以上の石板が使用されています。内部には、高さ3.45mの巨大な如来坐像が鎮座しており、その周囲には菩薩や十大弟子、八部衆、金剛力士、天王など39体の仏像が精緻な浮き彫りで描かれています。石窟庵の仏像は、東アジアにおける仏教建築の最高傑作のひとつに数えられています。
仏の世界を現世に表現した「仏国寺」
吐含山の西麓にある仏国寺は、石垣の上に建てられた木造の仏教寺院で、金大城の死後の774年に完成しました。敷地は毘盧殿、大雄殿、極楽殿の3つのエリアに分かれており、新羅の人々が思い描いた仏の国の世界を、地上に表現するために築かれました。大雄殿へと至る青雲橋と白雲橋や、極楽殿へつながる蓮華橋と七宝橋は、仏の世界と世俗世界を結ぶ意味合いが込められていました。最盛期には現在の10倍もの規模を誇っていましたが、1592年の豊臣秀吉による文禄の役で多くの木造建築が破壊されてしまいました。
アクセス
慶州から仏国寺までバスで約40分、さらに仏国寺から石窟庵までバスで約30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
アクセス
慶州から仏国寺までバスで約40分、さらに仏国寺から石窟庵までバスで約30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
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