about
イスラムの痕跡とカトリックの権力を示す「セビーリャの大聖堂」
スペイン南西部の都市セビーリャに残る大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館は、イスラム文化の痕跡、カトリック教会の権力、王室の主権、そしてスペインがアメリカ大陸の植民地を通じて獲得した貿易力を示す建造物群です。1403年にモスクの跡地に建設された大聖堂は、五廊式の構造をもつ世界で最も広大で豪華な宗教建築のひとつです。クリストファー・コロンブスの墓があることでも知られています。隣接する「ヒラルダの塔」は、1172〜98年にムワッヒド朝のヤアクーブ・アルマンスールが、大モスクのミナレットとして建設したもので、レコンキスタ(国土回復運動)後に鐘楼に転用されました。頂上には塔の名前の由来となった、キリスト教信仰の勝利を表す女性の銅像「ヒラルディージョ」が設置されています。
王室の主権と文化の融合を象徴する「アルカサル」
現在はスペイン王室の離宮として残るアルカサルは、10世紀頃にイベリア半島へ勢力を拡げたイスラム勢力の総督の別館が起源だと言われています。1248年頃、カスティーリャ王国がカトリック勢力としてこの地を統治します。14世紀にペドロ1世が王位に就くと、大改修が施され、その後も歴代王による改築により、アルカサルはムデハル様式を基本にルネサンス様式から新古典様式までのあらゆる様式が共存する現在の姿へとなりました。「提督の間」では、マゼランとフアン・セバスティアン・エルカーノによる世界周航など、さまざまな探検計画が立案されました。
大航海時代の記憶を残す「インディアス古文書館」
インディアス古文書館は、元は1585年にフアン・デ・エレーラが設計したセビーリャ商品取引所(カーサ・ロンハ)でした。中庭を取り囲むように建てられた構造はスペイン・ルネサンスの代表的建造物として有名です。1784年にはカルロス3世により、植民地政策で国王を補佐するインディアス枢機会議がこの場所に置かれ、各地に分散していたスペイン植民地に関する資料や文書を保管する資料館として活用されるようになりました。
アクセス
マドリードから高速列車AVEで約2時間30分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
アクセス
マドリードから高速列車AVEで約2時間30分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
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