セウェル鉱山都市
ブレーデン銅会社の企業城下町として発展し、1970年代には大部分が放棄された(©UNESCO/CC BY-SA 3.0 IGO

遺産DATA

地域 : 南米 保有国 : チリ共和国 所在地 : Libertador General Bernardo O'Higgins Region, Province of Cachapoal, Municipality of Machali 分類 : 文化遺産 登録年 : 2006年 登録基準 : (ii) 遺産の面積 : 0.172㎢ バッファ・ゾーン : 0.33㎢ 座標 : S34 5 4 W70 22 58

about

鉱山で働く労働者のために作られた街

セウェル鉱山都市は、アンデス山脈の標高2,000mの地点、ランカグアの東60㎞に位置し、気候の極端な環境の中にあります。この町は、1905年にブレイデン・カッパー社によって建設され、後に世界最大の地下銅鉱山となるエル・テニエンテ銅山で働く労働者のための居住地として造られました。セウェルは、工業化された国の資源と現地の労働力が融合し、高価値の天然資源を採掘・加工するために世界各地の辺境に誕生した「企業町」の優れた例です。町は大型車両が通行できないほど急峻な地形に建てられており、鉄道駅から伸びる大きな中央階段を中心に構成されています。その階段沿いには、不規則な形の広場が点在し、装飾的な樹木や植物が植えられ、町の主要な公共空間となっていました。通りに並ぶ建物は木造で、鮮やかな緑、黄色、赤、青などに塗られていることが多く、町に彩りを添えています。最盛期にはセウェルには約15,000人が暮らしていましたが、1970年代にはほとんど放棄されました。

チリとアメリカの習慣が融合した独自の文化

セウェルの起源は1905年にさかのぼります。チリ政府がアメリカ人鉱山技師ウィリアム・ブレイデンに銅鉱山の採掘を認可したことから始まりました。ブレイデンは壮大な商業的挑戦として、道路、選鉱場、キャンプ、そしてこの辺境の地を60㎞離れたランカグア市と結ぶ鉄道を建設しました。エル・テニエンテ銅山とセウェルの町は1971年までアメリカ企業の所有でしたが、1960年代末にはチリ政府が主要株主となり、1971年には銅産業が国有化されました。セウェルは徐々に拡張され、1968年の最盛期には17万5千㎡の敷地に15,000人が暮らしていました。その後、企業が労働者をランカグアへ移す方が効率的と判断したため、人口は徐々に減少しました。1990年代には保護・保存を目的とした政策が導入され、町の解体は終了しました。

セウェル鉱山都市
アメリカを思わせるカラフルな家々が密集する(©UNESCO/CC BY-SA 3.0 IGO

アンデスの斜面に適応した街並み

セウェルは非常に独創的な企業町であり、急峻なアンデスの斜面に広がる都市構造から「階段の街(Ciudad de las Escaleras)」や「丘に広がる街(Ciudad Derramada en el Cerro)」として知られています。これらの劇的な傾斜地形により、階段と小道だけで構成された歩行者専用の内部循環システムが生まれ、建物の間の小さな空間に公共施設が設けられました。建物や産業施設の建設には、木材と鉄材の創造的かつ高品質な使用が見られ、建築様式は簡素さ、機能性、モダニズムの影響を特徴としています。この街の最も顕著な特徴には、鉱石粉砕工程に斜面を活用した産業施設、上階が住居で下階が商業・サービス施設となっている建物、サービス施設、公共空間、歩行者用通路、電力・上下水道インフラ、町を横断する多様な配管網、レボジェド橋、そして厳しいアンデスの風景の中にある都市設計が挙げられます。産業施設の中では、現在も稼働している選鉱場(コンセントレーター)やエネルギーインフラ、敷地の最上部にある「レールの終点(Punta de Rieles)」地区が際立っています。セウェルでは、チリとアメリカの習慣が融合した独自の文化が築かれ、今も元住民やその子孫の間で受け継がれています。

アクセス

個人での訪問は不可。セウェルは現在無人の保存地区であり、ガイド付きツアーでのみ訪問可能。日本からチリへの直行便はなく、ダラス、ヒューストン、ロサンゼルス経由でアルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港まで26~38時間。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター(世界遺産アカデミー賞)

民間企業勤務のサラリーマン。趣味は世界遺産と言語。「リラの僧侶」の名で世界遺産ポッドキャスト「ニュースで読み解く世界遺産」のラジオパーソナリティーを担当。好きな世界遺産はリラの修道院。

遺産DATA

地域 : 南米
保有国 : チリ共和国
所在地 : Libertador General Bernardo O'Higgins Region, Province of Cachapoal, Municipality of Machali
分類 : 文化遺産
登録年 : 2006年
登録基準 : (ii)
遺産の面積 : 0.172㎢
バッファ・ゾーン : 0.33㎢
座標 :S34 5 4 W70 22 58

アクセス

個人での訪問は不可。セウェルは現在無人の保存地区であり、ガイド付きツアーでのみ訪問可能。日本からチリへの直行便はなく、ダラス、ヒューストン、ロサンゼルス経由でアルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港まで26~38時間。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター(世界遺産アカデミー賞)

民間企業勤務のサラリーマン。趣味は世界遺産と言語。「リラの僧侶」の名で世界遺産ポッドキャスト「ニュースで読み解く世界遺産」のラジオパーソナリティーを担当。好きな世界遺産はリラの修道院。