ハーンの宮殿のあるシェキの歴史地区
アゼルバイジャンの古都シェキ

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : アゼルバイジャン共和国 所在地 : Sheki city Azerbaijan 分類 : 文化遺産 登録年 : 2019年 登録基準 : (ii) (v) 遺産の面積 : 1.205㎢ バッファ・ゾーン : 1.46㎢ 座標 : N41 12 12 E47 11 15

about

重要な交易路に接し,さまざまな文化的影響を受けてきた都市

カフカス山脈東部の南側斜面に位置する歴史都市シェキは、紀元前6世紀にまで遡る古い歴史を持っています。現在の歴史地区は、1772年の土砂洪水の後、それまでの場所より東にある山間の谷の高台に再建されました。重要な交易路に接していることから、多様な文化的影響を受けてきました。キリスト教は1世紀にはすでに伝わり、イスラーム教は7世紀に広まりました。18世紀まで、シェキはサファヴィー朝、オスマン帝国、カージャール朝など、さまざまな勢力の支配下にありました。1743年には、コーカサス地方で最初かつ最も強力なハーン国として独立し、その後19世紀初頭にはロシアの支配を受けました。こうした多様な文化の影響は建築にも見られます。ハーンの宮殿には、ムカルナスなどのイスラーム建築技法、美しい中庭、そしてヨーロッパから持ち込まれたガラスを釘や接着剤を使わずに木で格子状に組み込んだステンドグラス「シェベケ」など、18世紀アゼルバイジャン建築の粋が凝縮されています。

桑の木が植えられた庭園と住宅が調和する「庭園都市」

シェキは、アジアやヨーロッパと交流する貿易の中心地として、またシルク・ロードのルートの一部として、古代から養蚕や繭・生糸の取引が盛んに行われてきました。風通しの良い広々とした屋根裏で蚕を飼育するため、傾斜のある屋根を持つ家々が建設されました。絹製品を含む広範な商業活動が行われ、1772年以降の短期間で新しいキャラバンサライ、店舗、公共の噴水、モスク、公衆浴場、倉庫などが次々と建設されました。シェキ特有の景観として、片側に住宅が立ち並ぶ耕作地があり、桑の木が植えられた庭園と住宅が一体となった「庭園都市」としての特徴を備えています。

アクセス

首都バクーのバスターミナルから、旧ソ連地域で見られる小型の乗り合いバス「マルシュルートカ」に乗り、5時間ほど。

執筆協力者PROFILE

市川 賢司
市川 賢司
アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。

遺産DATA

所在地 : Sheki city Azerbaijan
分類 : 文化遺産
登録年 : 2019年
登録基準 : (ii) (v)
遺産の面積 : 1.205㎢
バッファ・ゾーン : 1.46㎢
座標 :N41 12 12 E47 11 15

アクセス

首都バクーのバスターミナルから、旧ソ連地域で見られる小型の乗り合いバス「マルシュルートカ」に乗り、5時間ほど。

執筆協力者PROFILE

市川 賢司
市川 賢司
アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。