白川郷・五箇山の合掌造り集落
急勾配の茅葺き屋根の形が、両手を合わせて祈る「合掌」の形に似ていることから「合掌造り」と言われる

遺産DATA

地域 : 東・東南アジア 保有国 : 日本国 所在地 : 岐阜県大野郡白川村、富山県南砺市 分類 : 文化遺産 登録年 : 1995年 登録基準 : (iv) (v) 遺産の面積 : 0.68㎢ バッファ・ゾーン : 588.731㎢ 座標 : N36 23 60 E136 52 60

about

山間に息づく美しい集落景観

『白川郷・五箇山の合掌造り集落』は、岐阜県と富山県の険しい中部山岳地帯に位置し、「荻町」「相倉」「菅沼」の3つの集落から構成されています。いずれも庄川流域にあり、急峻な自然の中に暮らしと文化が根づいています。また、豪雪地帯であるこの地は、他地域との往来も限られたことから、独自の建築様式や暮らしの知恵、精神文化が培われました。浄土真宗を中心とした信仰と地域共同体のつながりを基盤に、現在まで伝統的な集落景観が守られています。合掌造りの家屋と自然、農村が一体となった景観は、日本の原風景のひとつとしてその美しさを伝えています。

山岳信仰と集落の歴史

この地域の歴史はおおよそ8世紀頃に、白山信仰に基づく山岳修験の場として始まったとされています。天台宗の影響を受けた修験道の伝統が根付く中世以降、浄土真宗が広く信仰されるようになり、各地に寺院や道場が築かれました。白川郷の名は12世紀の文献に登場しているのですが、本格的な集落の成立は15世紀から17世紀と考えられています。江戸時代には、白川郷は幕府の直轄地、五箇山は加賀藩の支配下にありました。外部との接触が限られた地域であったからこそ、信仰と共同体の力で精神的・物質的な文化が色濃く残されてきました。今に続く独自の文化景観は、この長い歴史と自然との共生の中で形成されてきたのです。

助け合いで守る合掌造りの暮らし

「合掌造り」とは、急勾配の茅葺き屋根をもつ切妻造りの家屋で、豪雪地帯に適応した独特の建築様式です。屋根裏は養蚕などに使われ、実用的かつ合理的な構造となっています。建築には、柱や梁などの「軸組」と、屋根を支える「小屋組」に分かれた技術が用いられます。専門大工の技術に加え、屋根の材料の準備や葺き替えは「結(ゆい)」という地域の相互扶助によって行われてきました。江戸時代から続く「組」と呼ばれる共同体が今も機能し、冠婚葬祭や建築の場面で助け合いの精神が息づいており、伝統と共に生きるしくみが現代も受け継がれています。

アクセス

【白川郷】金沢駅・富山駅から車で約1時間。高速バスでは約1時間半。/【五箇山】富山駅から車で約1時間。電車やバスでは約2時間。

執筆協力者PROFILE

KANAE
KANAE
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/Podcast「行きたくなる世界遺産!」パーソナリティ

世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。

遺産DATA

保有国 : 日本国
所在地 : 岐阜県大野郡白川村、富山県南砺市
分類 : 文化遺産
登録年 : 1995年
登録基準 : (iv) (v)
遺産の面積 : 0.68㎢
バッファ・ゾーン : 588.731㎢
座標 :N36 23 60 E136 52 60

アクセス

【白川郷】金沢駅・富山駅から車で約1時間。高速バスでは約1時間半。/【五箇山】富山駅から車で約1時間。電車やバスでは約2時間。

執筆協力者PROFILE

KANAE
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NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/Podcast「行きたくなる世界遺産!」パーソナリティ

世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。