about
王が空中都市に身を隠した背景
スリランカ中部の『シーギリヤの古代都市』は、高さ約200mもある巨大な岩山、通称「シーギリヤ・ロック」の頂にある宮殿跡です。5世紀後半、シンハラ王国のカッサパ1世という王によって、岩山の頂上に都が築かれました。彼は王である父ダートゥセナを殺し、正当な継承者だった弟モッガラーナを追放して王に即位しました。その後罪の意識に苛まれ、復讐を恐れたカッサパ1世は、父を供養し、かつ弟の報復から身を守るために、父が構想していた城砦の建設に着手しました。カッサパ1世は人が簡単には登れない岩山の上に、宮殿や庭園、貯水池などを含んだ要塞都市をつくり、自らの安全を確保しました。わずか十数年この場所で暮らしましたが、最後は弟に敗れて命を絶ちます。短い歴史を持つ都ながら、その劇的な背景と大胆な建造物は、現代の私たちにも強い印象を残しています。
岩に残る獅子の門と天女たち
シーギリヤという名前は、「獅子の山」という意味で、かつてこの岩山の北側には、獅子の姿を模った巨大な「獅子の門」がありました。獅子の前足は今も残っていて、当時のスケールの大きさがわかります。また、西側の岩壁には「シーギリヤ・レディ」と呼ばれる美しい女性たちの壁画があります。これは宮殿で暮らしていた女性たちがモデルとされており、華やかな服装やアクセサリーで飾られた姿が描かれています。テンペラというスリランカ美術を代表する技法で描かれ、風や雨にさらされながらも、鮮やかな色彩が訪れる人々を魅了し続けています。
アクセス
コロンボからキャンディまで電車で約3時間。キャンディからシーギリヤの古代都市までバスで約2時間半。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
アクセス
コロンボからキャンディまで電車で約3時間。キャンディからシーギリヤの古代都市までバスで約2時間半。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
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