自由の女神像
独立100周年を記念してフランスから贈られた『自由の女神像』

遺産DATA

地域 : 北米 保有国 : アメリカ合衆国 所在地 : New York City, State of New York 分類 : 文化遺産 登録年 : 1984年 登録基準 : (i) (vi) 遺産の面積 : 0.0595㎢ 座標 : N40 41 22 W74 2 41

about

移住者たちに勇気を与えた「世界を照らす自由」

マンハッタン島南西のアッパー・ニューヨーク湾に浮かぶリバティ島に立つ「自由の女神像」は、1886年にアメリカ合衆国の独立100周年を記念してフランスから贈られたものです。建設を提案したのは、法学者で政治家でもあったエドゥアール・ドゥ・ラブライエであり、制作を担ったのは彫刻家フレデリック・バルトルディと技術者ギュスターヴ・エッフェルです。この女神像は「世界を照らす自由」と名づけられ、アメリカ人建築家リチャード・モリス・ハントによる設計の台座上に立っています。台座を含めた高さは93m、総重量は225tに及びます。右手には希望の象徴である長さ9mのたいまつを高く掲げ、左手には「1776年7月4日」と記された独立宣言書を抱えています。女神は力強く左足を踏み出しており、その足元では奴隷制と専制政治を象徴する鎖を踏みつけています。アメリカの象徴ともいえるその姿は、入国の玄関口であったリバティ島の隣、エリス島を目指して海を渡ってきた何百万人もの移住者たちに勇気を与えてきました。

芸術と19世紀最高の技術が融合した傑作

女神像は、古代の伝統を継承しつつも、アール・ヌーヴォーの趣を湛えた、19世紀における新たな芸術表現を体現する巨大彫刻の傑作です。表面は銅板を組み合わせて構成されていますが、リバティ島は海辺に位置しているため風が強く、像自体も重量があることから、設計当初よりその強度が課題とされていました。この構造を可能にしたのが、世界遺産『パリのセーヌ河岸』に含まれるエッフェル塔の設計者としても知られるギュスターヴ・エッフェルです。エッフェルは、鉄鋼製の骨組みを女神像内部に組み込み、その骨組みが銅板を支えるという、当時としては革新的な方法を採用することで、女神像の強度を確保しました。また、土台にはコンクリートを多用し、たいまつの点灯には電気を用いるなど、当時の最先端技術が随所に用いられています。1986年には、建造100周年を記念して大規模な修復が行われ、劣化したオリジナルのたいまつは現在博物館に保存されており、女神像は再現されたたいまつを掲げています。

アクセス

バッテリー・パークにあるフェリー乗り場からリバティ島行きフェリーに乗船(所要時間約15分)。フェリーの始発は9時、最終は15時30分。

執筆協力者PROFILE

市川 賢司
市川 賢司
アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。

遺産DATA

地域 : 北米
所在地 : New York City, State of New York
分類 : 文化遺産
登録年 : 1984年
登録基準 : (i) (vi)
遺産の面積 : 0.0595㎢
座標 :N40 41 22 W74 2 41

アクセス

バッテリー・パークにあるフェリー乗り場からリバティ島行きフェリーに乗船(所要時間約15分)。フェリーの始発は9時、最終は15時30分。

執筆協力者PROFILE

市川 賢司
市川 賢司
アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。