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謎を秘めた石柱群「ストーンヘンジ」
イギリス南部のソールズベリー平原にあるストーンヘンジとエイヴベリーは、先史時代に築かれたとされる、謎を秘めた巨石遺跡群です。ストーンヘンジの建設時期は大きく3つに分けられています。第1期は、紀元前3100〜前2200年頃の直径100mもの外周部が形成された時期、第2期は前2100〜前2000年頃のブルー・ストーンと呼ばれる青みのある石でメンヒル群(直立石の上に水平に石を載せて連結したもの)が形成された時期、第3期は前2000〜前1100年頃の直径30mの環状列石とその内側に3つの石を門形に組んだトリリトン(三石塔)5組が馬蹄形に配置された時期とされています。これらの巨石遺跡が担っていた役割については未解明ですが、夏至の朝に環状列石の外にあるヒールストーン付近から太陽が昇り、中心部を照らすことなどから石の配置には天文学的な意味があるのではないかと考えられています。
ヨーロッパ最大級の環状列石「エイヴベリー」
ストーンヘンジから北へ約30km離れた場所に位置するエイヴベリーは、外周約1.3km、100個ものメンヒルをもつヨーロッパ最大級の環状列石です。1930年代の発掘調査によって、倒れている石や、土に埋もれているものが復元されました。発掘された土器などから建設時期は紀元前3000年代初頭と推定されています。これほどの規模の構造物が造られていたことから、この一帯では安定した農業経済が確立されていたのではないかと考えられています。また、前2400年頃に建造された高さ39.5mのシルバリー・ヒルは、約50万tもの白石灰岩を使用したヨーロッパ最大の土塁です。エイヴベリーは土器や巨石を使った建造物を創造するための卓越した工学技術を物語っています。
遺産保護とストーンヘンジ、エイヴベリーの今
現在、ストーンヘンジはイギリス政府設立の保護組織「イングリッシュ・ヘリテイジ」によって、エイヴベリーは民間団体からなる「ナショナル・トラスト」によって管理されています。2015年に地下をスキャニングする調査では地中からストーンヘンジを取り囲むように残る17の構造物や埋葬塚などが確認されました。さらに、新石器〜青銅器時代にかけての埋葬祭祀遺跡が残るダーリントン・ウォールズの周囲には、かつて高さ3mの立石が60個も置かれていたことが判明しています。その一方で、一般市民やNGO団体から景観や生態環境、地質学的問題を危惧する声が度々あがっています。それはストーンヘンジ近くを通るイングランド縦貫道(A303)へのもので、大気汚染の軽減や景観の改善、渋滞の緩和などを理由に緩衝地帯でのトンネル敷設が政府によって承認されました。これらに関して遺産の保護・保全については、世界遺産委員会で審議され改善が求められています。
アクセス
【ストーンヘンジ】ロンドン「ウォータールー駅」から「ソールズベリー駅」まで列車で約1時間半。駅からビジターセンターまでバスで約30分。/【 エイヴベリー】ロンドン「パディントン駅」から「スウィンドン駅」まで列車で約1時間。駅からエイヴベリーまでバスで約25分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
Properties
ストーンヘンジ
Stonehenge
エイヴベリー
Avebury
アクセス
【ストーンヘンジ】ロンドン「ウォータールー駅」から「ソールズベリー駅」まで列車で約1時間半。駅からビジターセンターまでバスで約30分。/【 エイヴベリー】ロンドン「パディントン駅」から「スウィンドン駅」まで列車で約1時間。駅からエイヴベリーまでバスで約25分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
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