メノルカ島のタライオティック文化
漆喰などを使わない乾式石造建築技術が、洗練されながら発展した

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : スペイン 分類 : 文化遺産 登録年 : 2023年 登録基準 : (iii) (iv) 遺産の面積 : 35.27㎢ バッファ・ゾーン : 190.14㎢ 座標 : N39 59 51 E3 54 32

about

メノルカ島特有の先史時代の葬儀の遺構

地中海西部に浮かぶメノルカ島には、数多くの先史時代の巨石遺跡が残されています。島からは1,500以上の遺跡が発見されており、その中の9つの構成資産には青銅器時代(紀元前1600年頃)から後期鉄器時代(紀元前123年頃)の巨石文化を中心とした遺跡が集中しています。また、この島ではタライオティック文化の葬儀の遺構が残っていることも特徴のひとつです。この地の人々は渓谷や海岸の岩壁に人工の洞窟を掘って集団墓を含む墓地をつくりました。これらの古代石造集落とその景観からは、この地域に存在した先史時代の島嶼文化を垣間見ることができます。

タライオティック文化の名前の由来となった巨石建造物「タラヨット」

モルタルなどを使わずに巨大な石材を積み上げて建てられる「キュクロプス式建造物」はこの遺跡群の特徴のひとつです。紀元前1600年頃まで、不規則なブロックで建てられた最初のキュクロプス式建造物が出現しました。住居として用いられた「ナベタ」と呼ばれる逆船形の建造物は、小規模な集落に集中して見られます。住居以外にも葬儀の目的としても使用されたナベタですが、紀元前1200年頃になると「タラヨット」と呼ばれる新しいタイプの巨大建造物が出現します。このタラヨットこそが「タライオティック文化」という名称の由来です。直径25m、高さ10mもの大きな円錐形のタラヨットは、実に300件以上この地で発見されています。

ナベタ
「ナベタ」と呼ばれる住居などに使用された建築物(ⒸAnibal Trejo/Adobe Stock)

アクセス

マドリードからメノルカ島まで飛行機で約1時間30分。

執筆協力者PROFILE

ミド
ミド
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/Podcast「行きたくなる世界遺産!」パーソナリティ

広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。

遺産DATA

保有国 : スペイン
分類 : 文化遺産
登録年 : 2023年
登録基準 : (iii) (iv)
遺産の面積 : 35.27㎢
バッファ・ゾーン : 190.14㎢
座標 :N39 59 51 E3 54 32

アクセス

マドリードからメノルカ島まで飛行機で約1時間30分。

執筆協力者PROFILE

ミド
ミド
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/Podcast「行きたくなる世界遺産!」パーソナリティ

広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。