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世界最大規模の壮観な原生地帯
オーストラリア大陸の南に位置するタスマニア島は、かつてゴンドワナ大陸の一部でオーストラリアと陸続きだった島です。2万1,000年前頃に、海水面の上昇によって本土と海峡で隔てられました。タスマニア島では、太古の姿を保った植物や独自の進化を遂げた動物が見られます。1982年に自然遺産として世界遺産登録されましたが、1989年には文化遺産の価値も認められて、複合遺産になりました。氷河の流動によって大地が浸食され、平坦な山頂や荒々しい斜面、多数の湖が誕生し、世界最大規模の壮観な原生地帯だといわれています。世界遺産には7つの国立公園にまたがる、総面積約1万5,842㎢のエリアが登録されています。
ゴンドワナの記憶をとどめる生物たち
オーストラリア本土と分断されたことで、競合する哺乳類がいなくなり、他の大陸では絶滅した原始的な形質を持つ動物が独自の進化を遂げました。例えば、カモノハシやハリモグラに代表される単孔類は、肛門と排尿管生殖口が分かれていない哺乳類で、卵を産む唯一の哺乳類です。また、世界最大の肉食有袋類のタスマニアデビルは、タスマニア島にしか生息しない固有種で、絶滅危惧種にも指定されています。冷温帯雨林にはゴンドワナ大陸由来の植物も多く含まれており、タスマニアならではの独特な植生を見ることができます。
先住民のタスマニア・アボリジニ
タスマニア島には、約4万年前から人類が定住していたことが確認されています。本土とタスマニア島がまだ陸続きであった頃、アボリジニが本土からタスマニアへと渡ってきたと考えられています。タスマニア・アボリジニは狩猟採集生活を営み、洞窟の壁にステンシルと呼ばれる技法で宗教的な場面をテーマとした岩絵を描きました。しかし、19世紀にイギリス人が入植すると、タスマニア・アボリジニは居住地の移動を余儀なくされました。入植者による虐殺や収容、劣悪な食糧事情や白人が持ち込んだ伝染病などによって人口が激減し、1876年に混血でないタスマニア・アボリジニの最後の1人が亡くなったとされています。現在はアボリジニの文化の保護や支援が進められています。
アクセス
日本からシドニーやメルボルンを経由して、国内線に乗り継ぎ。所要時間は14時間程度。
執筆協力者PROFILE
慶應義塾大学大学院修士課程修了。桐蔭学園高校地理科教諭。神奈川県高文連社会科専門部会事務局長。東京大学空間情報科学研究センター協力研究員。(社)日本ICOMOS会員。山川出版社地理用語集編集委員。高校地理の教科書・地理用語集などを執筆・編集。
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日本からシドニーやメルボルンを経由して、国内線に乗り継ぎ。所要時間は14時間程度。
執筆協力者PROFILE
慶應義塾大学大学院修士課程修了。桐蔭学園高校地理科教諭。神奈川県高文連社会科専門部会事務局長。東京大学空間情報科学研究センター協力研究員。(社)日本ICOMOS会員。山川出版社地理用語集編集委員。高校地理の教科書・地理用語集などを執筆・編集。
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