テルチの歴史地区
もともとは木造の家が並んでいたが、大火災の反省から石造りで建て直された

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : チェコ共和国 所在地 : Vysocina Region 分類 : 文化遺産 登録年 : 1992年 登録基準 : (i) (iv) 遺産の面積 : 0.36㎢ バッファ・ゾーン : 2.965㎢ 座標 : N49 11 2.9 E15 27 14.3

about

未開の地に築かれた理想都市

チェコ南部に位置するテルチの街のある場所は、かつて深い原生林に覆われた未開の地でした。13世紀から14世紀にかけて、中央ヨーロッパでは政治的・経済的支配を目的に「プランテーション」と呼ばれる計画都市が建設されましたが、テルチはその中でも最も保存状態の良い例とされています。街の中心には城があり、二つの人工池に囲まれた構造は、防衛と景観の両立を意識した設計です。その起源は文献からは明らかでないものの、14世紀半ばには都市として機能していたと考えられています。

美しさと強さを備えたテルチの歴史的背景

テルチは幾度も火災の被害を受けてきましたが、1530年に発生した火災によって、大きな転機を迎えます。それまで木造だった家々は、火災後に石造りで再建され、町は城壁に囲まれるようになります。復興を進めたのは当時の市長であったザハリアーシュ・フラデツでした。再建時には人工池を施し、防火機能を持った街になります。裕福な市民の寄進によって作られた聖母マリアの記念柱も残ります。また、テルチにはゴシック様式の城がありましたが、15世紀後半には盛期ゴシック様式で再建され、より堅牢な姿に変わっています。このような再建と強化の歴史から、当時の人々にとってのテルチの重要性が伝わります。

建築美が輝く街並みとテルチ城

テルチの魅力はその建築美にあります。三角形の市場広場を囲むカラフルな市民住宅は、連続するアーケードでつながれ、各建物のファサードは個性豊かに装飾されています。広場中央には噴水やモニュメントがあり、さらに周囲には市庁舎や聖霊教会、ゴシック様式の聖ヤコブ教会などが立ち並びます。街の中心に位置するルネサンス様式のテルチ城は、内部にイタリア美術の精華を取り入れた希少な建築であり、歴史的・芸術的な重要性を今に伝えています。

アクセス

プラハからテルチまでバスで約3時間。

執筆協力者PROFILE

KANAE
KANAE
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/Podcast「行きたくなる世界遺産!」パーソナリティ

世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。

遺産DATA

保有国 : チェコ共和国
所在地 : Vysocina Region
分類 : 文化遺産
登録年 : 1992年
登録基準 : (i) (iv)
遺産の面積 : 0.36㎢
バッファ・ゾーン : 2.965㎢
座標 :N49 11 2.9 E15 27 14.3

アクセス

プラハからテルチまでバスで約3時間。

執筆協力者PROFILE

KANAE
KANAE
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/Podcast「行きたくなる世界遺産!」パーソナリティ

世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。