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天と地をつなぐ祭祀施設
北京市にある天壇は、1420年に明の第3代皇帝・永楽帝(在位:1402~1424年)が造営した祭祀施設です。1402年に即位した永楽帝は、南京から北京へ都を移し、紫禁城の造営とともに天地壇をつくりました。1530年、第9代皇帝の嘉靖帝の時代に、天と地を祀る祭壇に分けられ、元の天地壇は「天壇」と呼ばれました。明・清代の歴代皇帝はこの地を訪れ、天と地の仲介役として祈りと犠牲を捧げました。1911年に祭祀が禁止されるまで、約490年にわたり儀式が執り行われていました。
古代中国の宇宙観を体現した建造物群
約273万㎡の広大な敷地をもつ天壇で、特に重要な建造物は、南北一直線に立ち並ぶ祈年殿、皇穹宇、圜丘壇です。最も北に位置する祈年殿は、現存する中国最大の祭壇で、皇帝が春に五穀豊穣を祈った場所です。大理石の基壇上に、藍色の瓦葺の3層の屋根をもつ円形のデザインは、東アジアの建築に大きな影響を与えたとされます。圜丘壇は3層の円形の壇で、皇帝は冬至にこの場所を訪れて儀式を行いました。天壇の敷地の北側の角は丸く、南側は四角くなっており、かまぼこのような形をしています。これは中国の伝統的な宇宙論「天円地方(天は円形、大地は方形)」を表現したものです。建造物のデザインやその配置にも古代中国の宇宙観が反映されています。
二重に登録されている世界遺産
1998年に世界遺産となった天壇は、2024年に登録された世界遺産『北京の中軸線:中国首都の理想的秩序を示す建造物群』の構成資産にも含まれています。この遺産は、北京旧市街の鐘鼓楼から永定門までの約7.8kmの軸線と、『北京と瀋陽の故宮』として単独で登録されている北京故宮のほか、景山公園や天安門広場、先農壇など軸上に存在する15の資産が含まれており、中国古代の理想的首都の概念に基づいて建設されたことを示す遺産です。
アクセス
北京国際空港から天壇公園まで、タクシーで約50分。または北京地下鉄「天壇東門駅」から天壇公園まで徒歩約3分。
執筆協力者PROFILE
前職(株)JTBにて約12年間、海外旅行のパッケージツアーの企画・造成に携わり、世界遺産も含めた観光地のプロモーションや送客に貢献。2021年より国土交通省 観光庁にて勤務、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光地域づくりを担当し、現在に至る。世界遺産アカデミー客員研究員、(社)日本イコモス文化観光国内学術委員、(社)台湾世界遺産登録応援会アドバイザー。
アクセス
北京国際空港から天壇公園まで、タクシーで約50分。または北京地下鉄「天壇東門駅」から天壇公園まで徒歩約3分。
執筆協力者PROFILE
前職(株)JTBにて約12年間、海外旅行のパッケージツアーの企画・造成に携わり、世界遺産も含めた観光地のプロモーションや送客に貢献。2021年より国土交通省 観光庁にて勤務、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光地域づくりを担当し、現在に至る。世界遺産アカデミー客員研究員、(社)日本イコモス文化観光国内学術委員、(社)台湾世界遺産登録応援会アドバイザー。
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