テオティワカンの古代都市
謎に包まれたアメリカ大陸で最大規模の都市遺跡

遺産DATA

地域 : 北米 保有国 : メキシコ合衆国 分類 : 文化遺産 登録年 : 1987年 登録基準 : (i) (ii) (iii) (iv) (vi) 遺産の面積 : 2.5㎢ バッファ・ゾーン : 31.1815㎢ 座標 : N19 41 30.012 W98 50 30

about

アメリカ大陸最大規模の古代文明

メキシコ・シティから北東に約50㎞ほどの場所に位置するテオティワカンは2~8世紀にかけて栄えた古代都市です。この都市を築いた民族は未だに不明です。テオティワカンとは「神々が集まる場所」という意味でナワトル語の神話では太陽と月が創造された場所として表されています。350~650年には最盛期を迎えますが、8世紀中頃には廃墟となりました。理由は7世紀に発生した大規模火災と考えられていますが、内戦や紛争という説も指摘されています。

マヤ文明との広域的な交流

テオティワカンの遺跡内からは400以上の黒曜石の加工場が見つかっており、黒曜石交易によって繁栄したと考えられています。テオティワカンの位置する中央高原の黒曜石はユカタン半島のマヤ地域でも確認されています。また378年にはテオティワカンは1000km以上離れたグアテマラのティカルへ侵攻し征服しています。その後、他のマヤ地域でもテオティワカンの軍事的介入が確認されています。マヤ地域では黒曜石の他にもテオティワカンでみられるケツァルコアトルなどの図像なども確認されています。

三大ピラミッドとトンネル

テオティワカンには約600基のピラミッドがありますが、「太陽のピラミッド」「月のピラミッド」「ケツァルコアトルのピラミッド」は特に大型で、テオティワカンを象徴する建築です。これらのピラミッドの役割ははっきりとはわかっていません。しかしこれらのピラミッドにはそれぞれトンネルがあることが分かっており、トンネル内からは生贄埋葬や鷲やジャガーなどの動物骨、貴重な奉納品等が発見されており、今後の調査に期待が高まっています。

アクセス

メキシコシティのAutobuses del Norte駅でバスに乗車しPuerta2で下車。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。

Properties

太陽のピラミッド

太陽のピラミッド

Pyramid of the Sun

底辺の幅が225m、高さが63mの大型ピラミッドで、現在失われている神殿も含めると当時の高さは74mほどであったと推定される。夏至の日に太陽が目の前に沈むように軌道が計算されている。太陽のピラミッドは増築が行われたこともわかっている。
月のピラミッド

月のピラミッド

Pyramid of the Moon

死者の大通りの北に位置し、テオティワカンで2番目に大きい建築。太陽のピラミッド同様に増築が行われ、新しく大きなピラミッドが古いピラミッドを覆っていることがわかっている。
ケツァルコアトルのピラミッド

ケツァルコアトルのピラミッド

Pyramid of Quetzalcoatl

大儀式場のラ・シウダデラ(城塞)と呼ばれる広場の中央に位置する。外壁には雨と雷の神トラロックや文化と創造の神ケツァルコアトルがまつられている。ピラミッドの位置するラ・シウダデラには都市の住民10万人以上が収容可能であると言われる。
死者の大通り

死者の大通り

Avenue of the Dead

テオティワカンのピラミッドや神殿、施設などの建造物は死者の大通りを軸に並んでいる。死者の大通りは南北軸に一直線で北端に月のピラミッドが位置する。東側には太陽のピラミッドとケツァルコアトルのピラミッドがあるラ・シウダデラが配置されている。

遺産DATA

地域 : 北米
分類 : 文化遺産
登録年 : 1987年
登録基準 : (i) (ii) (iii) (iv) (vi)
遺産の面積 : 2.5㎢
バッファ・ゾーン : 31.1815㎢
座標 :N19 41 30.012 W98 50 30

アクセス

メキシコシティのAutobuses del Norte駅でバスに乗車しPuerta2で下車。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。