コースとセヴェンヌ:地中海性農業牧草地の文化的景観
石造りの農家や段々畑、牧畜の風景が特徴的な遺産

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : フランス共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2011年 登録基準 : (iii) (v) 遺産の面積 : 3,023.19㎢ バッファ・ゾーン : 3,124.25㎢ 座標 : N44 13 13 E3 28 23

about

3,000年にわたり農牧民の営みが築いた山岳景観

フランス中南部に位置する約3,023㎢のこの地域は、深い谷が点在する山岳地帯で、3,000年以上にわたり農業と牧畜業が営まれてきました。この地域の景観は、農牧業の営みと自然環境が密接に結び付いてきた歴史をよく示しており、地中海性農牧業を代表する文化的景観のひとつとされています。農場や森林、畑、集落、水管理施設、家畜の移動路であるドレイユといった要素は、11世紀以降の修道院組織や、12~14世紀の土地経営の展開のなかで農牧業の発展とともに体系的に整えられてきました。

修道院組織による農牧業システムの構築

セヴェンヌ地方の深い谷沿いに築かれた段丘上の集落や頑丈な石造りの建築物は、11世紀以降にこの地域を支配した大修道院の土地管理と農業経営のあり方を伝えています。修道院は、灌漑を含む水管理や農地配置を体系化し、山岳地帯においても持続可能な農牧生活を可能にしました。一方、コース地方には草原が広がり、大規模な石造農場群が点在しています。セヴェンヌ地方と同様に、12〜14世紀にかけてテンプル騎士団やホスピタル騎士団(聖ヨハネ騎士団)によって展開された水管理が基盤となり、大規模農牧業が発展していきました。

伝統的な移牧が続く地域

この地域では、農牧業と森林利用を組み合わせた森林牧畜、季節ごとに家畜を移動させる移動牧畜(移牧)、定住型の牧畜など、地中海沿岸地域に見られるほぼすべての牧畜形態が展開されています。なかでもロゼール山周辺は、家畜の移動路であるドレイユを用いた伝統的な夏の移牧が、現在も実践されている数少ない地域のひとつです。こうした移牧を支えてきた家畜小屋や水利施設、放牧地、移動路といった建造物や景観要素は、過去の遺構として残されているだけではありません。現代においても農牧業が継続されることで維持されています。

アクセス

非常に広いためモンペリエを拠点にレンタカーやツアーを利用するのが基本。パリからモンペリエへはTGVで3時間30分〜4時間。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 2011年
登録基準 : (iii) (v)
遺産の面積 : 3,023.19㎢
バッファ・ゾーン : 3,124.25㎢
座標 :N44 13 13 E3 28 23

アクセス

非常に広いためモンペリエを拠点にレンタカーやツアーを利用するのが基本。パリからモンペリエへはTGVで3時間30分〜4時間。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。