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世界最古の議会「アルシング」の遺構
アイスランド語で「集会の平原」を意味するシングヴェトリルは、アイスランド島の南西部、首都レイキャヴィクから北東約50kmに位置する国立公園です。930年、この地で世界最古の議会「アルシング(全島集会)」が開かれ、この集会は1798年まで同じ場所で続きました。議会は年に2週間開催され、出席者は誰でも自分の意見を述べることができました。法議長が演説を行った「法律の岩」や、石で造られた仕切り席などの遺構が現在でも残されています。この集会の記録は、ヴァイキング時代の歴史を伝える史伝集『アイスランドサガ』にも記されています。また、1944年にはアイスランド共和国樹立の宣言もこの地で行われ、国民にとって精神的な象徴の地となっています。
アイスランドへの移住と議会設立の背景
アイスランドへ移住してきた人びとはヴァイキングでした。もともと北欧のスカンディナヴィア半島に住んでいたヴァイキングは800年頃から移住を開始し、ロシアから北米、地中海まで進出しました。9世紀後半にはアイスランドへの移住が始まり、イギリス諸島からの移住者も加わりました。人口が増加するにつれて、法律を定め、会合を通じて紛争を解決し、全員が遵守すべき共通の規則に合意するための場が必要となりました。こうした背景のもと、930年にアルシングが開かれることになりました。
地球の地殻の裂け目が地表で見られる壮大な地形
アイスランドはユーラシアプレートと北米プレートの境界に位置し、大西洋中央海嶺にあるマントルプルームによって形成されています。シングヴェトリルではプレートが引き裂かれ、地面が沈降することで「ギャオ」と呼ばれる大陸プレートの割れ目を地上で見ることができます。ここでは劇的な亀裂や断崖が見られ、周囲は草原に覆われた溶岩原を特徴とする変化に富んだ山々に三方を囲まれ、南方にはシンクヴァトラヴァトン湖が広がっています。この雄大で変化に富む素晴らしい景観から、文化的景観として世界遺産に登録されています。
アクセス
アイスランドの首都レイキャヴィクから北東約50kmの位置にあり、車で約45分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
アクセス
アイスランドの首都レイキャヴィクから北東約50kmの位置にあり、車で約45分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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