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当初はローマ遺跡に間違えられた
グアテマラの北部の密林にあるティカル国立公園には、ユカタン半島で興ったマヤ文明の最大級の都市遺跡が残っています。1696年にスペイン人によって発見されたこの都市は、当時ローマ帝国の遺跡と間違えられた程。また、マヤ文字が解読されていなかったので詳しいことはわかりませんでした。ところが19世紀半ばのアメリカの外交官、ジョン・ロイド・ステファンズの徹底的な調査の結果、これらはローマ帝国の遺跡ではなく、先住民の祖先が築いたものだということがわかり始めました。さらに1950年代後半にマヤ文字の解読が進むと、強大な権力をもつ王のもと、周辺国家と戦争や政略結婚を繰り返し、交易で繁栄した都市国家であったということが判明しました。少なくとも33人の王がいたとされ、王の遺体なども発見されています。
壮大な大都市の面影
ティカルの最盛期は7世紀からの約250年間であり、120㎢という広大な範囲になんと6万2,000人も暮らしていたと言われています。人口が増加すると、食料生産量も次第に増えるため、灌漑農業が発達しました。また、それに伴い天文学や暦、文字、高度な石造技術が発達しました。しかし、ティカルは他のマヤ都市と同様に滅亡していきます。滅亡理由は自然災害や疫病、戦争とも言われていますが、はっきりとしたことはわかっていません。「石碑11」には西暦869年に相当する日付が刻まれているのですが、これ以降の記録は残っていません。謎が多いティカルですが、周辺の自然も評価され、現在は複合遺産として保存されています。
アクセス
首都グアテマラ・シティから飛行機でフローレスまで1時間、そこから車で約90分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
Details
1号神殿
Templo I, Templo del Gran Jaguar
2号神殿
Templo II, Templo de las Máscaras
北のアクロポリス
Acrópolis del Norte
中央のアクロポリス
Central Acropolis
アクセス
首都グアテマラ・シティから飛行機でフローレスまで1時間、そこから車で約90分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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