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砂糖の一大産地
キューバではスペイン人の入植とほぼ同時にサトウキビ栽培や製糖が始まりましたが、18世紀末に「砂糖革命」が起き、この産業は大規模産業へと発展します。その中心的な存在となったのがトリニダ近郊に広がる肥沃な盆地でした。ロス・インヘニオスとは「砂糖工場」という意味であり、まさしくこの渓谷に56もの砂糖工場が存在したと言われています。砂糖によって巨万の富を得た農園主の一部は、現在の首都であるハバナに豪華な邸宅を建て不在地主となるのですが、トリニダに残った農園主もそれに対抗するように、トリニダに豪華な宮殿を建てるようになりました。その結果、ブルネート邸やカンテロ邸のようなバロック様式の館が中心広場の周辺にいくつも並びました。
街の輝きの裏に存在した黒人奴隷たちの汗と涙
砂糖の生産に従事していたのは、初期の頃は先住民でしたが、やがて疫病などで人口が激減し、それを補うためにアフリカから黒人奴隷が移入されました。その結果、キューバに住む黒人奴隷の人口は、全人口の4分の1程度になったと言われています。トリニダでは豪華な宮殿が立ち並ぶ中、ロス・インヘニオス渓谷では過酷な労働が展開されていました。その過酷さを象徴する建築物が、盆地にそびえ立つ「イスナガの塔」です。高さ44m、7階建ての塔は、プランテーションで働く黒人奴隷の日々の生活の監視だけでなく、逃亡者を早く見つけるための機能も備えていました。砂糖産業による繁栄の裏には、黒人奴隷たちの負の歴史があったのです。
アクセス
ハイメ・ゴンサレス空港からトリニダのサンティシマ広場まで車で約1時間半。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
アクセス
ハイメ・ゴンサレス空港からトリニダのサンティシマ広場まで車で約1時間半。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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