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八萬大蔵経と仏教の広がり
韓国南部の伽耶山の麓に建つ海印寺は、802年に創建された由緒ある寺院です。この場所に収められている「八萬大蔵経」は、仏教経典の集大成として世界にその存在を知られています。この版木は、高麗時代の13世紀、モンゴル軍の侵攻という国難に際して、仏の加護を願うために彫られました。初めに彫られたものは戦乱により失われましたが、その後15年をかけて復刻され、1251年に完成しています。約8万枚に及ぶ木版は、その正確さと美しさにおいて他に例がなく、今日でも高い学術的価値を持っています。
蔵経板殿の建築と保存技術
八萬大蔵経を収める「蔵経板殿」は、15世紀に建立された4棟の建物で、海印寺の伽藍の中で最も高い位置に配置されています。建築は朝鮮前期の伝統様式に則り、華美さを避けた調和のとれた構造を特徴としています。特筆すべき点はその保存技術です。自然換気や温湿度の調整を可能にする設計が施され、500年以上にわたり木版を虫害や湿気から守り続けてきました。この卓越した構造は、宗教建築としての価値にとどまらず、人類の知恵による保存科学の先駆的事例ともいえます。今日では韓国仏教徒のみならず、世界中の仏教学者や巡礼者が訪れる聖地となっています。
アクセス
大邱から海印寺までバスで約1時間30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
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大邱から海印寺までバスで約1時間30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
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