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酷暑・厳寒の過酷な大地
「トゥラン」とは、古代ペルシア帝国北東部の砂漠地帯を指す言葉で、現在のウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタンにまたがる広大な地域です。この地域には海抜0mより低い土地も多く「トゥラン低地」とも呼ばれます。そこに広がる寒冬砂漠は、夏は酷暑で乾燥し、冬は厳寒となり、年間降水量は300mm程度という極端な気候が特徴です。このような厳しい環境に適応した多様な動植物が生育・生息しています。植生では乾燥や塩分濃度の高い土地にも耐える植物が多く、砂漠地帯では灌木サクサウール、ツガイ林ではグミやタマリスクなどがみられます。動物相では絶滅危惧種サイガやコウジョウセンガゼルなど長距離移動を行う有蹄類や、多くの渡り鳥の休息地にもなっています。
太古の昔は海底だったウスチュルト台地
カスピ海とアラル海の間に広がるウスチュルト台地一帯はその昔、パンゲア大陸が分裂した約2億年前の三畳紀から、約2,000万年前の新第三紀まで存在したテチス海の海の底にありました。テチス海が消滅した後、地殻変動によって海底が隆起し、ウスチュルト台地が形成されました。そのため、台地には塩分を含んだ海の堆積物や、ソロンチャック(塩類土壌)が広がっています。このような過酷な環境に適応して暮らす哺乳類や鳥類、爬虫類の種の多様性は、同じ旧北区の砂漠・乾燥低木地に位置する他の世界遺産地域と比較しても高い水準となっています。
消滅の危機に瀕するアラル海
世界遺産には、ウスチュルト台地の東に位置するアラル海周辺のエリアも登録されています。アラル海はテチス海を起源とする大きな湖で、世界第4位の湖沼面積を誇る内陸湖でした。しかし、20世紀の旧ソ連時代の灌漑の影響などで急激に縮小していき、50年間で10分の1程度まで縮小してしまいました。湖の塩分濃度が上昇しただけでなく、水が干上がった地域では、かつて湖底にあった塩分を含む砂が飛来するなど、塩害も課題となっています。アラル海周辺地域では、砂漠化対策としてサクサウールの植林活動が行われています。
アクセス
観光整備された場所は少ないため、個人ツアーなどで巡る必要がある。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
アクセス
観光整備された場所は少ないため、個人ツアーなどで巡る必要がある。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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