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団長の名に由来する城塞都市バレッタ
街全体が世界遺産のバレッタは地中海に浮かぶ島国・マルタ共和国の首都です。真っ青な海の上には、「マルタストーン」と呼ばれるハチミツ色に輝く石材でできた建物が目立ちます。ここは16世紀に、聖ヨハネ騎士団が新たな拠点とした城塞都市です。聖ヨハネ騎士団は、第1回十字軍の時代に成立しました。彼らは地中海で活躍し、ロドス島を拠点としていましたが、オスマン帝国の進出により、そこから撤退せざるを得なくなり、1530年、マルタ島に拠点を移します。1565年のマルタ大包囲戦でオスマン帝国に勝利すると、翌年から街の建設を始めました。街は、当時の聖ヨハネ騎士団団長のジャン・パリソー・ド・ラ・バレッテの名前に由来します。
「レパントの海戦」で大勝し、豪華な建造物が造られる
バレッタの街は、イタリアの建築家によって碁盤目状の街路が敷かれるなど、ルネサンス後期の理想都市を目指して整備されていきました。1571年には「レパントの海戦」でカトリック連合軍に加わってオスマン帝国に大勝したこともあり、聖ヨハネ騎士団には莫大な寄進が集まります。また、名門貴族出身の騎士団員も多くいたため、富が集まる傾向があったようです。そうした経済力を背景に、豪華な建造物がバレッタには造られていきました。今は大統領府や政府機関として使われている「騎士団長の宮殿」は当時の面影を伝えます。
言語別に8つの礼拝堂がある聖ヨハネ大聖堂
城塞都市バレッタの中心に立つ「聖ヨハネ大聖堂」は、騎士団がその名を冠した洗礼者ヨハネを称えるために建設されました。ここには、騎士の出身地の言語別に8つの礼拝堂があり、会堂の床一面は、大理石でできた400にも及ぶ騎士たちの墓碑で覆われています。それぞれの墓碑には、騎士の戦いの記録なども刻まれています。この地は海上交通の要衝であるのみならず、1798年にはナポレオンに征服され、さらに1800年からはイギリスに占領されるなど、軍事的にも重要な場所でした。
アクセス
ローマやフランクフルトから空路で約1時間半~2時間半。バレッタのバスターミナルから徒歩すぐ。
執筆協力者PROFILE
北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。
アクセス
ローマやフランクフルトから空路で約1時間半~2時間半。バレッタのバスターミナルから徒歩すぐ。
執筆協力者PROFILE
北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。
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