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悲劇の記憶を呼び覚ます奴隷貿易の港
ブラジル、リオ・デ・ジャネイロに位置するこの遺跡は、アフリカから奴隷を輸送するために1811年から建設が始まった埠頭(ヴァロンゴ埠頭)の遺跡です。当時のリオ・デ・ジャネイロは、アメリカ大陸最大の奴隷市場でした。その中でもヴァロンゴ埠頭はアメリカ大陸で最も多くのアフリカ人奴隷が上陸した場所で、推計でおよそ90万人ものアフリカ人がこの埠頭を経由してアメリカ大陸へ強制的に連れてこられたとされています。ヴァロンゴ埠頭は人類史上最大規模の強制移住を証明する重要な物的証拠であり、奴隷制度という残虐な歴史を後世に伝える場として、世界遺産に登録されています。
アフリカ人奴隷のアメリカ大陸到着を示す証拠
この考古遺跡は複数の層が重なって構成されている点が特徴です。最も古い層は、奴隷を上陸させるために造られた「ヴァロンゴ埠頭」の石造りの舗装部分で、ペ・ド・モレケ様式(手作業で切り出した石)で舗装が施されています。1843年にブラジル帝国皇帝ドン・ペドロ2世の妃のためにエンプレス埠頭が建設されると、ヴァロンゴ埠頭は土砂で埋められました。また、1904年以降に新しく港が埋め立て地に建設され、元あった埠頭は内陸側に位置することになりました。こうして埠頭は地中に埋もれていましたが、2011年の発掘によってその姿が明らかになりました。わずかに現存する石畳はアフリカ人が実際に踏みしめた石である可能性があり、埠頭の遺跡は、アフリカ人奴隷が新大陸に到着した物的証拠が残る、唯一の場所となっています。
アフリカ系ブラジル人にとっての聖地
この場所は、アフリカ系ブラジル人にとって、彼らの祖先がアメリカ大陸に降り立った、深く痛みのある記憶の場所であり、文化的なアイデンティティを形成する上で重要な聖地です。奴隷貿易の歴史を象徴するこの遺跡は、単なる考古学的な発見にとどまらず、アフリカ人ディアスポラ(離散)とその文化の形成における重要な拠点として認識されています。現在も「リトル・アフリカ」と呼ばれる地域社会の文化的中心であり、毎年7月にはアメリカ大陸に到着した祖先の霊に敬意を表し、清めと浄化を行うための「埠頭の洗浄」儀式が行われています。ほかにもサンバをはじめとするアフリカ系文化の発信地・象徴的空間としても重要です。
アクセス
リオ市内の地下鉄でCarioca駅へ行き、VLT(路面電車)に乗り換えてParada dos Museusで下車。そこから徒歩7~8分ほど。
執筆協力者PROFILE
福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。
アクセス
リオ市内の地下鉄でCarioca駅へ行き、VLT(路面電車)に乗り換えてParada dos Museusで下車。そこから徒歩7~8分ほど。
執筆協力者PROFILE
福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。
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