about
スウェーデン最高の高さを誇ったアンテナ鉄塔を持つ無線局
スウェーデン南部、ヴァールベリ市の東7kmにあるグリメトン無線局は、1922〜1924年にかけて建設された、大西洋を越える無線通信時代の初期を象徴する遺産です。海沿いに広がる約110万㎡の広大な敷地には、当時スウェーデン国内最高の高さを誇った127mのアンテナ鉄塔6基や、アンテナ付きの短波送信機、初代アレクサンダーソン製の送信機を持つ建物、職員のための住宅街などが含まれています。主要な建物は建築家のカール・オーケルブラッドによって新古典主義様式で設計され、当時スウェーデンで最も高い建造物となったアンテナ鉄塔は、構造エンジニアのヘンリック・クルーガーによって設計されました。大西洋を横断する無線通信初期の施設としては非常に保存状態が良いことが特徴です。
海底ケーブルから無線通信の時代へ
第一次世界大戦中、海底の電信ケーブルを使った通信は敵がケーブルを切断することで通信手段を失う危険性が懸念されていました。そのため、先進国では1910年頃から強力な無線によって通信を行う技術を戦略的に高めていきます。スウェーデンも海底ケーブルによるネットワークに依存していましたが、戦時中に一時その接続が失われたことなどから、無線通信の開発に力を注いでいきます。その中で採用されたのがスウェーデン系アメリカ人のエルンスト・アレクサンダーソンが発明した技術でした。
建設から100年を経てなお使用可能な設備
ヴァールベリとアメリカのニューヨーク州ロングアイランドにある中央無線局を繋ぐグリメトン無線局は、第一次世界大戦後の世界にとっても重要な存在となりました。電子技術が登場する前の無線通信局としては唯一現存するものですが、現在、無線局は使用されていません。しかし、建設から100年が経過した現在も、設備はいつでも使用できる状態に保たれていて、毎年「アレクサンダーソン・デー」にモールス信号の送信テストが行われています。
アクセス
首都ストックホルムからヨーテボリ経由でヴァールベリまで鉄道で約4時間。ヴァールベリ駅からグリメトン無線局まで車で約15分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
アクセス
首都ストックホルムからヨーテボリ経由でヴァールベリまで鉄道で約4時間。ヴァールベリ駅からグリメトン無線局まで車で約15分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
Similar Heritage
特徴が似た遺産を探す