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世界で唯一の国全体が世界遺産
キリスト教世界で最も神聖な場所のひとつであるヴァティカン市国は、約2,000年の歴史とカトリック教会の精神性の証として存在しています。ローマ教皇を国家元首とするこの国は人口800人、総面積0.44km2と世界最小の独立国でありながら、国全体が世界遺産に登録されている唯一の場所です。サン・ピエトロ大聖堂の立つヴァティカンの丘は、イエス・キリストの最初の弟子であり初代教皇でもある聖ペテロの墓所であったとされています。4世紀になると、ローマ帝国皇帝として最初にキリスト教を保護したコンスタンティヌス1世の命により、バシリカ式の教会堂が建てられました。主要な巡礼地でもあるヴァティカンは、キリスト教の歴史と直接的に結びついているのみならず、ルネサンスやバロック美術の理想であり、模範的な創造物でもあります。
120年の歳月を経て築かれた芸術家たちの粋「サン・ピエトロ大聖堂」
教会堂建築から約1,000年が経過した15世紀中頃には、老朽化により大きな聖堂へと改築する工事が進められます。その際に主任建築家を務めたのは、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ修道院の改築に従事したドナート・ブラマンテでした。資金難もあり工事が長期化する中で、ブラマンテが亡くなると、ミケランジェロ・ブオナローティらに引き継がれます。最終的には、ラファエロ・サンツィやジュリアーノ・ダ・サンガッロ、バルダッサーレ・ペルッツィ、カルロ・マデルノなどの著名な芸術家が携わり、1626年、世界最大規模の豪華かつ荘厳な大聖堂が完成しました。完成に約120年もの歳月がかかったのは歴代主任建築家によって度々設計の修正が加えられており、歴代教皇の意向が反映されたためと考えられています。集中式プランがラテン十字形プランに変更、さらに集中式プランに戻され、再びラテン十字形へと改築され現在に至っています。特に17世紀の改築で活躍したのがジャン・ロレンツォ・ベルニーニでした。聖堂の最も奥に位置する「聖ペテロの司教座」をはじめ内装や天蓋、140体の聖人像が立つサン・ピエトロ広場がベルニーニによって築かれました。
歴代教皇たちの美術コレクションが収蔵されている「ヴァティカン美術館」
18世紀半ばになるとローマ教皇たちはルネサンス期に遡る古美術品の個人コレクションの拡充にも力を注ぎました。これらのコレクションを、学者や鑑定士、愛好家などが自由に閲覧できる公共の美術館へと変貌させたことが、ヴァティカン美術館の起源と言われています。19世紀から20世紀にかけて更に新しいコレクションが追加され、収蔵する建物も新たに追加されました。
アクセス
イタリアの首都ローマの地下鉄「オッタヴィアーノ駅」から徒歩10分、トラムは「リソルジメント駅」から徒歩で約5分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
Details
サン・ピエトロ大聖堂
Basilica di San Pietro
ヴァティカン宮殿
Palazzo Apostolico
システィーナ礼拝堂
Cappella Sistina
ヴァティカン図書館
Vatican Apostolic Library
アクセス
イタリアの首都ローマの地下鉄「オッタヴィアーノ駅」から徒歩10分、トラムは「リソルジメント駅」から徒歩で約5分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
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