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8つの火山が氷河の下にある火と氷の世界
この火山地域は、1万4,000㎢を超える広大な面積を誇り、アイスランドの国土のおよそ14%を占めています。園の名称の由来となっている、7,800㎢のヴァトナヨークトル氷帽や、10の火山が存在します。そのうち2つは国内でも特に活発な活火山で、残りの8つは氷河の下にあります。火山やヴァトナヨークトル氷帽の下に広がる地溝との相互作用はさまざまな形で表れますが、最も壮観なのはヨークルフロイプ(氷河湖決壊洪水)と呼ばれる現象です。これは、噴火の際に氷河の縁が決壊して突然発生する洪水のことです。こうした現象が繰り返し起こることで、独特な砂地平原や河川、渓谷が形成されました。また、この火山地域には氷河期を生き延びた地下水生生物の固有種が生息しており、単細胞生物が繁栄しています。これらの湖は、初期の地球や、木星や土星の氷の衛星の環境を再現している可能性があるとされています。
大西洋中央海嶺の中で唯一海面上に露出している部分
アイスランドには、大西洋中央海嶺のうち、海面上に露出している唯一の部分があります。ここでは両側のプレートが毎年約19㎜ずつ離れ続けています。その下には、豊富なマグマを供給するマントルプルームが存在します。この地域の基盤岩の多くは玄武岩で、最も古いものはおよそ1,000万年前に、最も新しいものは2015年に噴火しました。氷帽の外側には、広大で平坦な溶岩流や、氷河期の氷河の下で起きた割れ目噴火によって形成された褐色の火山岩ハイアロクラスタイトからなるトゥヤ(平坦な頂上をもつ火山)やティンダー(尾根)など、さまざまな地形が広がっています。こうした火山活動による地形の特徴は、火星の地形との類似性から比較研究にも用いられています。
アクセス
首都レイキャビクからヴァトナヨークトル国立公園まで、国道1号線を経由して約5時間。飛行機では、レイキャビク空港からホルナフィヨルズゥル空港まで約1時間。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
Details
ヴァトナヨークトル氷河
Vatnajökull
クバンナダールス山
Hvannadalshnúkur
エスキュヴァトン湖
Öskjuvatn
ヨークルスアゥルロゥン湖
Jökulsárlón
フィヤトルスアゥルロゥン湖
Fjallsárlón
アクセス
首都レイキャビクからヴァトナヨークトル国立公園まで、国道1号線を経由して約5時間。飛行機では、レイキャビク空港からホルナフィヨルズゥル空港まで約1時間。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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