ヴェルサイユ宮殿と庭園
太陽王ルイ14世によって築かれた王宮

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : フランス共和国 所在地 : Department of Yvelines, Ile-de-France 分類 : 文化遺産 登録年 : 1979年 範囲変更年 : 2007年 登録基準 : (i) (ii) (vi) 遺産の面積 : 10.7㎢ バッファ・ゾーン : 94.67㎢ 座標 : N48 48 18 E2 7 10

about

フランスの絶対王政の象徴としての宮殿

フランスの首都パリから20㎞ほどのところに位置するヴェルサイユ宮殿は、ルイ14世からルイ16世の時代までのフランス国王の居城でした。1661年にルイ14世の命で建造が始まると、数世代にわたる建築家や彫刻家、装飾家による建設と拡張が行われます。贅の限りを尽くして建てられたこの宮殿はフランス・バロック様式建造物の最高傑作というだけではなく、「太陽王」としてのルイ14世を象徴するとともに、フランスの絶対王政の最盛期を象徴する権威的な宮殿にもなりました。

ヨーロッパ各地の宮廷建築にも影響を与えた宮殿

ヴェルサイユ宮殿は17世紀末から18世紀末にかけて1世紀以上にわたりヨーロッパの宮廷建築に影響を与えることになります。世界遺産として有名なドイツのポツダムにあるサンスーシ宮殿も同様にヴェルサイユ宮殿を模して建設されました。またヴェルサイユ宮殿の庭園を設計したル・ノートルは彼自身やまた彼の模倣者によって庭園設計が行われ、その影響はロシアやスウェーデンにまで及びました。

フランス革命後のヴェルサイユ宮殿

フランス革命後、宮殿は博物館や祝賀の場、会議の場へと転用され、フランスの権力の象徴や歴史舞台の中心であり続けました。ナポレオン3世は宮殿を権力の象徴として用いました。また1855年にはイギリスのヴィクトリア女王がヴェルサイユ宮殿を訪問しました。第一次世界大戦の講和条約であるヴェルサイユ条約も宮殿の鏡の間で結ばれました。戦後もG7サミットの会場や国賓を迎える場所としてフランス政治でも重要な場所となっています。2024年のパリオリンピックでは馬術や五種競技の競技会場にもなりました。

アクセス

ヴェルサイユ宮殿周辺には複数の鉄道駅があり、パリ市内からそれぞれ異なる路線を利用して1時間弱でアクセスできる。最寄りのVersailles Château Rive Gauche駅から宮殿までは徒歩15分ほど。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。

Details

鏡の間

The Hall of Mirrors/La Galerie des Glaces

当時非常に贅沢品だった鏡が357枚使用されたヴェルサイユ宮殿で最も豪華な空間。鏡の間の絵画にはルイ14世の軍事や外交、王国再編改革といった輝かしい治世が古代の寓話を通して描かれている。

王室礼拝堂

The Royal Chapel/La Chapelle Royale

ルイ14世治世末期の1699年に設計図が提出され1710年に建設が完了した礼拝堂。1710年から1789年にかけて王子や王女の洗礼や結婚の式場となり、ルイ16世とマリー・アントワネットの結婚式もここで執り行われた。
庭園

庭園

The Gardens/Les Jardins

宮殿の庭園には十字の大運河があり、その周囲には幾何学的に配置された庭園や噴水などが広がっている。なかでも果実が植えられたオランジェリーガーデンや大理石のラトーナの噴水は宮殿内でも傑出した作品である。
グラン・トリアノン

グラン・トリアノン

The Grand Trianon/Le Grand Trianon

大運河の北端に位置し、ルイ14世治世に建設が開始された。イタリア建築の影響を受けた独自の建築様式をもつ。大理石が用いられており建築当時は「大理石のトリアノン」として知られた。立派な庭もそなえられている。
プチ・トリアノン

プチ・トリアノン

The Petit Trianon/Le Petit Trianon

プチ・トリアノンはルイ15世が愛人ポンパドゥール夫人のために建設した宮殿。ルイ15世の死後、ルイ16世がマリー・アントワネットに宮殿を贈った。彼女は重圧を逃れ、安らぎを求めてプチ・トリアノンを訪れていたと言われる。

遺産DATA

所在地 : Department of Yvelines, Ile-de-France
分類 : 文化遺産
登録年 : 1979年
範囲変更年 : 2007年
登録基準 : (i) (ii) (vi)
遺産の面積 : 10.7㎢
バッファ・ゾーン : 94.67㎢
座標 :N48 48 18 E2 7 10

アクセス

ヴェルサイユ宮殿周辺には複数の鉄道駅があり、パリ市内からそれぞれ異なる路線を利用して1時間弱でアクセスできる。最寄りのVersailles Château Rive Gauche駅から宮殿までは徒歩15分ほど。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。