ヴェゼール渓谷の装飾洞窟と先史遺跡
ラスコーの洞窟を忠実に複製した「ラスコー2」

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : フランス共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 1979年 範囲変更年 : 2023年 登録基準 : (i) (iii) 遺産の面積 : 1.05733㎢ バッファ・ゾーン : 170.22㎢ 座標 : N45 3 13.3 E1 10 12(ラスコー洞窟)

about

先史人類の高度な文明を示す豊富な出土品

ヴェゼール渓谷は、旧石器時代にさかのぼる147の遺跡と25の装飾洞窟を有する、先史時代の遺跡に恵まれた地域です。工房、原材料採取地、住居跡、狩猟場、埋葬地など、旧石器時代の居住環境を物語る遺跡のほか、50万個以上の火打石や140を超える動物化石、800以上のクロマニョン人の道具などが出土しており、考古学、民俗学、人類学上、重要な研究対象となっています。また、洞窟壁画も、ヨーロッパの先史文明の年代体系を確立する上で重要な役割を果たしています。ここで発見された出土品と壁画芸術は、先史時代の想像を超える高度な文明の存在を示す貴重な証拠なのです。

豊かな色彩で正確に描写された動物たち

この地域の装飾洞窟として最もよく知られるラスコー洞窟は、1940年、近隣の子供たちによって偶然発見されました。この発見が、先史時代の芸術研究にとって極めて重要な意味を持つことになりました。壁画の芸術性は非常に高く、岩肌の凹凸を活用しながら、正確な観察に基づいた細かな描写と豊かな色彩で動物たちの姿が生き生きと描かれており、先史人類の高い芸術的才能を示す貴重な証拠となっています。中には6m近い牛の壁画や、100頭を超える動物の狩猟風景を描写したものもあります。描かれた動物や風景は、日々の狩猟を成功させるための祈りの対象や、大切な儀式のための装飾だったと考えられています。

複製の公開で守られるラスコー洞窟

ラスコー洞窟は1948年に一般公開されましたが、大勢の観光客が訪れた結果、洞窟内の炭酸ガス濃度が上昇してしまいます。結果、炭酸カルシウムの層が壁画の表面を覆うなどの事態が起こり、1963年に一般公開が中止され、洞窟は閉鎖されました。対策が講じられましたが、その後もカビが発生するなどの問題が発生。カビは沈静化しましたが、脆弱な洞窟環境の保全を確実にするため、残念ながらラスコーの洞窟は今も一般公開されていません。代わりに、近隣に内部の壁画などを再現した複製の洞窟が設置され、その魅力を多くの人に伝えています。

アクセス

経由便でボルドー、トゥールーズなどフランスの主要都市へ。ボルドーから現地へは車で約2時間。広範囲に遺跡が点在するため車での移動が便利。

執筆協力者PROFILE

毎日新聞記者・デスク/世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

文化遺産や美術工芸を自身のテーマに関西や北陸、四国で長年取材・執筆。アンコールやマヤなど海外の遺跡取材や、「世界遺産ポンペイの壁画展」などの展覧会運営にも携わった。国内唯一の点字新聞でデスクを担った経験から、世界遺産のアクセシビリティーにも関心を持つ。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 1979年
範囲変更年 : 2023年
登録基準 : (i) (iii)
遺産の面積 : 1.05733㎢
バッファ・ゾーン : 170.22㎢
座標 :N45 3 13.3 E1 10 12(ラスコー洞窟)

アクセス

経由便でボルドー、トゥールーズなどフランスの主要都市へ。ボルドーから現地へは車で約2時間。広範囲に遺跡が点在するため車での移動が便利。

執筆協力者PROFILE

毎日新聞記者・デスク/世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

文化遺産や美術工芸を自身のテーマに関西や北陸、四国で長年取材・執筆。アンコールやマヤなど海外の遺跡取材や、「世界遺産ポンペイの壁画展」などの展覧会運営にも携わった。国内唯一の点字新聞でデスクを担った経験から、世界遺産のアクセシビリティーにも関心を持つ。