ティヴォリのハドリアヌス別荘
ローマ五賢帝のひとりハドリアヌス帝の権力を象徴する、壮大な「黄金の広場」

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : イタリア共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 1999年 登録基準 : (i) (ii) (iii) 遺産の面積 : 0.8㎢ バッファ・ゾーン : 5㎢ 座標 : N41 56 39 E12 46 19.1

about

後世の建築家に大きな影響を与えた別荘

ティヴォリは、ローマの東方30㎞に位置するラツィオ州の田園地帯を見下ろす丘の上にあります。穏やかな気候と豊かな自然に恵まれた一帯は、古くからローマ人達の別荘地として利用されて来ました。ヴィッラ・アドリアーナは、ローマ帝国の五賢帝のひとりであるハドリアヌス帝が、紀元117年から138年にかけて建設した別荘で、その敷地面積は1.2㎢に及びます。彼が帝国の属州を視察する中で、感銘を受けたエジプト、ギリシア、ローマなどの優れた景色や建造物の様々な要素を組み合わせて、「理想の都市」を再現しました。ハドリアヌス帝の死後、別荘は放棄されましたが、1461年に再発見されました。この別荘の建造物を研究することで、後世、特にルネサンス、バロック時代の建築家に大きな影響を与えました。

小さな街のような別荘内の建造物群

広大な敷地内には4つのグループに分けられ、合わせて約30棟の建物が現存しています。なかでも第2のグループは別荘の中心地にあります。「黄金の広場」は別荘の建造物の中でも特に印象的なもので、薄緑色チポリーノ大理石とエジプト産花崗岩の柱が交互に並ぶ2廊式の列柱廊で囲まれたペリスタイルと呼ばれる中庭が見られます。また、「海の劇場」は海に見立てた池を囲む円形劇場で、中央には人口の島が設けられました。また、第3のグループは中央から南にかけて運河地帯を構成し、アテネのストア派の始祖である哲学者ゼノンが講義を行った「ストア・ポイキレ」を模した貯水池ポイキレ、エジプトのアレキサンドリア近くのセラピス神殿を模したカノプスの運河などがあります。このほかにも、浴場、図書館や病院までもが備えられ、別荘は小さな街と言えるものでした。

アクセス

ローマから地下鉄B線ポンテ・マンモーロ駅へ約30分。そこから青色のCotral社の郊外行きバスに乗り、約50分でティヴォリ着。そこから別称へは徒歩15分。

執筆協力者PROFILE

山口 利光
山口 利光
NPO法人世界遺産アカデミー客員研究員

米国総合化学会社の日本法人にて海外人事部門などで40年間勤務した後、筑波大学大学院人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻の博士課程を修了。博士(世界遺産学)。日本造園学会会員。日本シルク学会会員。元大東文化大学国際関係学部非常勤講師。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 1999年
登録基準 : (i) (ii) (iii)
遺産の面積 : 0.8㎢
バッファ・ゾーン : 5㎢
座標 :N41 56 39 E12 46 19.1

アクセス

ローマから地下鉄B線ポンテ・マンモーロ駅へ約30分。そこから青色のCotral社の郊外行きバスに乗り、約50分でティヴォリ着。そこから別称へは徒歩15分。

執筆協力者PROFILE

山口 利光
山口 利光
NPO法人世界遺産アカデミー客員研究員

米国総合化学会社の日本法人にて海外人事部門などで40年間勤務した後、筑波大学大学院人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻の博士課程を修了。博士(世界遺産学)。日本造園学会会員。日本シルク学会会員。元大東文化大学国際関係学部非常勤講師。