ビニャーレス渓谷

世界有数の葉タバコの生産地

キューバ西部にあるビニャーレス渓谷は、シエラ・デ・ロス・オルガノス山脈に囲まれた渓谷です。最大300ｍにも達する石灰岩のドーム状の岩山「モゴーテ」が点在し、渓谷の斜面には、植民地時代には逃亡奴隷（シマロン）が、独立戦争の時代には革命家が身を隠す場として機能した洞窟が残されています。この渓谷は葉タバコの生産地として広く知られます。機械で生産すると品質が落ちるため、家畜の牽引などの数百年前からの農耕法が受け継がれています。その過程で出来た田園風景が自然の風景に溶け込み、素晴らしい文化的景観が広がっているのです。

タバコ農園で働く者たちが作り上げた文化

ビニャーレス渓谷では、先住民、スペイン人征服者、アフリカから連れてこられた奴隷など、さまざまな人々が葉タバコの生産に関わりました。そのためビニャーレスでは、多様な人々の文化が融合し、音楽や伝統工芸などにおいて独自の文化が発展してきました。タバコ農園で働く労働者ベゲーロたちの音楽はそのひとつです。人間の営みと自然が調和したこの景観は、数世紀にわたって変わることなく受け継がれており、キューバの歴史と文化の象徴となっています。