about
中世の面影をそのまま残す渓谷
ドイツ南部から中・東欧を抜けて黒海へと注ぐドナウ川の流域のうち、オーストリア北東部の都市メルクとクレムスの間に広がるヴァッハウ渓谷は、特に風光明媚なことで知られ、訪れる人に感動を与えてくれます。この地域の歴史は非常に古く、先史時代の遺物が数多く出土しており、ガルケンベルクでは約3万2,000年前の、ヴィレンドルフでは約2万6,000年前のものと推定される像が発見されています。その後の青銅器時代、鉄器時代を経て、ケルト人の王国ノリクムや、ローマ帝国の国境都市マウテルンが置かれるなど、歴史の舞台となりました。中世にはバーベンベルク家の支配下で町や修道院が発展し、11〜12世紀には現在の街の基礎が築かれました。ヴァッハウはドイツ叙事詩『ニーベルンゲンの歌』にも登場し、地域の歴史的重要性を物語っています。

さまざまな機能を持ち合わせた街
ヴァッハウ渓谷は、ドナウ川沿いの不規則な家並みや丘の斜面に広がるブドウ畑が印象的です。ワイン生産の建物は、U字型やL字型など特徴的な形状をしています。これらは中世後期から16~17世紀にかけて建てられたと言われています。また18世紀には科学の進歩もあり、斜面でのブドウ栽培が積極的に推進されました。街には居酒屋や旅館、鍛冶屋なども点在し、訪れた者に癒しを与える教会も建造され、人々の生活を支えてきました。特にメルク修道院は、バロック建築の代表例として有名です。町の中心部や街路は中世後期からほぼ変わらず、石造建築や急勾配の寄棟屋根など、ヴァッハウ独特の建築様式が見られます。
アクセス
首都ウィーンからメルクまで鉄道で約1時間。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
アクセス
首都ウィーンからメルクまで鉄道で約1時間。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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