ワッデン海
北はカナダやグリーンランドから、南は南アフリカまで広がる東大西洋フライウェイの中でも重要な拠点のひとつ

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : オランダ王国, デンマーク王国, ドイツ連邦共和国 分類 : 自然遺産 登録年 : 2009年 範囲変更年 : 2011年 範囲拡大年 : 2014年 登録基準 : (viii) (ix) (x) 遺産の面積 : 11434.03㎢ 座標 : N53 31 43 E8 33 22

about

北海沿岸に広がる世界最大級の干潟

ワッデン海はヨーロッパ北西部の北海沿岸に広がる世界最大級の干潟で、オランダのワッデン海保全地域、ドイツのワッデン海国立公園、デンマークのワッデン海海洋保護区の3カ国の保護区で構成されています。2009年にオランダ、ドイツの保護区が登録され、2014年にデンマークの保護区が追加登録されました。海岸沿いの湿地帯では、潮の干満によって砂州やエスチュアリー(三角江)、干潟、塩性湿地など多様な地形が形成され、様々な動植物にとって重要な生息地となっています。

多様な生態系と東大西洋地域フライウェイ

ゼニガタアザラシや、ハイイロアザラシ、ネズミイルカなどの海洋哺乳類をはじめ、塩性湿地には約2,300種の動植物が生息し、海洋と汽水域には2,700種の動植物と30種の繁殖鳥類が生息しています。特に鳥類の保護に関しては、ワッデン海は渡り鳥の主要な飛行ルートである東大西洋地域フライウェイの中心に位置し、アフリカとユーラシア大陸間を飛行する渡り鳥の中継地、換羽地、越冬地として、生物多様性における重要な拠点となっています。最大610万羽の鳥が同時に飛来し、毎年平均1,000万〜1,200万羽がこの土地を通過しています。

ワッデン海を取り巻く資源開発

オランダ、ドイツ、デンマークは、ワッデン海の保護区全体の統合的な保全と管理を円滑に行うため、1982年に「ワッデン海保護に関する共同宣言」を採択し、以来3国による協力体制を敷いています。効果的な管理に必要な財政の維持とモニタリング、遺産の価値を損なわぬよう厳格な環境影響評価など、包括的な保護対策をそれぞれの国で実施しています。世界遺産の登録範囲内での石油やガスの探査・採掘は禁止されています。また、風力発電関連の海底ケーブル敷設なども、最小限に抑えられています。

アクセス

日本からアムステルダムまで直行便で14時間程度。アムステルダムからワッデン海まで電車で2時間ほど。

執筆協力者PROFILE

石橋 生
石橋 生
NPO法人世界遺産アカデミー客員研究員

慶應義塾大学大学院修士課程修了。桐蔭学園高校地理科教諭。神奈川県高文連社会科専門部会事務局長。東京大学空間情報科学研究センター協力研究員。(社)日本ICOMOS会員。山川出版社地理用語集編集委員。高校地理の教科書・地理用語集などを執筆・編集。

遺産DATA

分類 : 自然遺産
登録年 : 2009年
範囲変更年 : 2011年
範囲拡大年 : 2014年
登録基準 : (viii) (ix) (x)
遺産の面積 : 11434.03㎢
座標 :N53 31 43 E8 33 22

アクセス

日本からアムステルダムまで直行便で14時間程度。アムステルダムからワッデン海まで電車で2時間ほど。

執筆協力者PROFILE

石橋 生
石橋 生
NPO法人世界遺産アカデミー客員研究員

慶應義塾大学大学院修士課程修了。桐蔭学園高校地理科教諭。神奈川県高文連社会科専門部会事務局長。東京大学空間情報科学研究センター協力研究員。(社)日本ICOMOS会員。山川出版社地理用語集編集委員。高校地理の教科書・地理用語集などを執筆・編集。