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オランダの水力工学の頂点を極めたポンプ場
オランダ北部、フリースラント州レメルにある世界最大の排水施設です。国土の大部分が海抜0mかそれ以下の低地であるオランダでは、排水設備はたいへん重要な社会インフラです。風力を利用した揚水装置「風車」はこの国の象徴となっていますが、19世紀後半以降は蒸気機関が導入され、そのひとつがこの揚水ポンプ場です。1920年に水利技師のD.F.ヴァウダが建設したもので、現在でも稼働しています。これはオランダの水力工学の頂点を極めたポンプ場で、かつ20世紀を代表する工業デザインの好例と言えます。
技師D.F.ヴァウダの揚水ポンプ場
遺産名の「Ir.D.F.ヴァウダヘマール」はカタカナにすると「イル・デー・エフ・ヴァウダヘマール」となります。この「Ir.(イル)」は、オランダで工学の学位を持つ「技師(インヘニウル;Ingenieur)」の学位称です。英語圏で博士号を持つ人が名前の前に「Dr.(ドクター)」とつけるのと同じです。ですので「Ir.D.F.ヴァウダ」というのは「D.F.ヴァウダ技師」という意味です。現在のオランダの高等教育過程には、一般的な大学(Universiteit)と、実践的な職業教育を行う高等職業教育校(Hogeschool)があります。どちらで工学の学位を得たかによって技師の称号も異なり、大学の場合は「Ir.」、高等職業教育校の場合は「Ing.」となります。学位を持たずに称号を用いると、罰金が科せられるそうです。また、ヴァウダの後につく「ヘマール(gemaal)」というのはオランダ語で「揚水ポンプ」を指すので、この遺産名「Ir.D.F.ヴァウダヘマール」は「D.F.ヴァウダ技師の揚水ポンプ場」という意味になります。
アクセス
アムステルダムから最寄りのヘーレンフェーン駅まで列車でおよそ2時間。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
アクセス
アムステルダムから最寄りのヘーレンフェーン駅まで列車でおよそ2時間。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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