about
東京都23区ほどの小さな島
屋久島は、九州本土の最南端から約60kmの洋上に位置する、周囲約132㎞、東西約28km、南北約24kmのほぼ円形の島です。東京都の23区ほどの小さな島には、標高1,936mの宮之浦岳をはじめ、標高1,800mを超える山が7座、1,000m以上の山が46座も連なっています。このような山々の存在から、「洋上のアルプス」と呼ばれています。屋久島は、亜熱帯の北限にあたる北緯30度付近に位置しているため、標高が上がるにつれて植生が大きく変化します。海岸部には亜熱帯性植物を含む海岸植生が見られ、山地には温帯雨林、山頂付近には冷温帯性のササ草地や高層湿原が広がるなど、垂直方向の植生分布が見られる点が非常に貴重です。このように、小さな島の中に日本の自然植生が凝縮されており、地球上でも極めて稀な例とされています。
樹齢1,000年以上の天然杉「屋久杉」
屋久島の植生の大きな特徴のひとつが「屋久杉」です。屋久島固有のスギのうち、樹齢1,000年以上のものを「屋久杉」、それ未満のものを「小杉」と呼びます。現在、屋久杉は2,000本以上確認されており、なかでも1966年に標高1,300mの地点で発見された「縄文杉」は、樹高約30m、根回り約43mにもなる巨木です。一般的なスギの寿命は最大でおよそ800年とされていますが、屋久島は栄養分の少ない花崗岩の地盤の上にあり、「月に35日雨が降る」と言われるほどの多雨地域で、年間降水量は4,400~10,000㎜に達します。そのためスギの生長が非常に遅く、年輪が緻密で樹脂が多く含まれるようになりました。樹脂には防腐・抗菌・防虫効果があり、これにより屋久杉は腐朽しにくく、長い樹齢を保つことができたのです。

固有亜種が数多く生息する東洋のガラパゴス
屋久島には数多くの固有亜種が生息しており、「東洋のガラパゴス」と呼ばれています。屋久島は地殻の隆起によって形成され、その後、海水面が下がった新生代更新世の氷期には九州本土と陸続きになり、多くの動植物が島に渡ってきました。そして約1万5千年前、温暖な間氷期に入り、屋久島は再び孤立したことで、この島独自の進化が進みました。哺乳類ではヤクシカやヤクザルなど4種の固有亜種が確認されており、鳥類ではヤクシマアカコッコやヤクコマドリなど、同じく4種の固有亜種が生息しています。

アクセス
日本エアコミューターが伊丹~屋久島間を約1時間20分、福岡~屋久島間を約1時間10分、鹿児島~屋久島間を約35分で運行している。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
アクセス
日本エアコミューターが伊丹~屋久島間を約1時間20分、福岡~屋久島間を約1時間10分、鹿児島~屋久島間を約35分で運行している。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
Similar Heritage
特徴が似た遺産を探す