グランド・プリズマティック・スプリング
高温の熱水泉だが、遊歩道を通って近くまで行くことができる((c)Evan)

見どころDATA

200度を超えて温められた熱水

マグマ溜りの上に位置するイエローストーン国立公園では、様々な熱水現象が見られますが、そのひとつが温泉(ホット・スプリングス)です。大地に雨や雪として降った水が亀裂だらけの岩に染み込むと、マグマで熱せられた塩水とぶつかり200℃を超える過熱水になります。普通であれば蒸発してしまうのですが、上から水の重みと圧力で押さえつけられているため蒸発できません。しかし熱水は上にある重く冷たい水よりも密度が低いため、対流が生じて高温の熱水が地表に出てきます。イエローストーン国立公園にはこうした温泉が1万以上あります。

グランド・プリズマティック・スプリングとモーニング・グローリー・プール
グランド・プリズマティック・スプリング(左)とモーニング・グローリー・プール(右)((c)Aerial Film Studio)

バクテリアの種類が織りなす虹色

そうしたホット・スプリングスの中でも代表的なのが、グランド・プリズマティック・スプリングです。虹色の幻想的なこの熱水泉は、1871年に探検家フェルディナンド・ヘイデンによって命名され、広く紹介されました。絶えず熱水が噴き上げているグランド・プリズマティック・スプリングは、中心の青い部分が最も温度が高く、90℃近くにまで達することがあります。この高温では生物が生息することができないため、水は透明で太陽光の波長のために青色に見えます。そこから周辺に行くにつれて温度が下がっていき、それぞれの温度ごとにシアノバクテリアやシネココッカスなど異なるバクテリアが生息しているため、虹色の幻想的な温泉となっています。

執筆協力者PROFILE

宮澤 光
宮澤 光
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員

北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。

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宮澤 光
宮澤 光
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員

北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。