サカテカスの歴史地区
街の中心には18世紀に建設された、バロック様式のサカテカス大聖堂が立つ

遺産DATA

地域 : 北米 保有国 : メキシコ合衆国 分類 : 文化遺産 登録年 : 1993年 登録基準 : (ii) (iv) 遺産の面積 : 2.0772㎢ バッファ・ゾーン : 1.0915㎢ 座標 : N22 46 31.742 W102 34 24.7

about

銀が築いた植民都市サカテカス

サカテカスは、首都メキシコ・シティの北西約620km、メキシコ中央高原北端に位置する植民都市です。もとは緑豊かな土地でしたが、16世紀半ばにスペイン人が銀鉱脈を発見したことで銀の採掘と都市建設が進み、森林資源は急速に失われていきました。発見された銀はスペイン王室に莫大な富をもたらし、1552年には王室財務局、1810年には造幣局がサカテカスに設置されるほど重要な拠点都市となりました。また、サカテカスからグアナフアトを経由してメキシコ・シティへ至る道は「銀の道」と呼ばれ、17世紀前半にこの道を通って運ばれた銀は、当時スペイン全植民地で採掘された銀の約3分の2を占めていたといわれています。

狭い谷の不規則な地形に適応した「バラ色の街」

ラテンアメリカの植民都市は、一般的にソカロと呼ばれる正方形の広場を中心に、碁盤の目状の街路が配置されています。しかし、サカテカスは山間の狭く起伏の激しい土地に急速に築かれた鉱山都市だったため、このような典型的な都市計画が採用できませんでした。同じく世界遺産である鉱山都市のグアナフアトと同様、地形に合わせて急な坂道や狭い路地が張り巡らされている点が特徴です。こうした地形的な制約にうまく適応したサカテカスは、ヨーロッパの植民定住地として傑出した例の一つとされています。また、建物の多くが赤みを帯びた石材で造られているため、街全体が淡いピンク色に見え、「バラ色の街」という愛称でも親しまれています。

ウルトラ・バロックによる壮麗な聖堂

銀の採掘によって莫大な富を得たサカテカスは、地域経済の中心都市として発展しました。同時に、カトリック教会はテキサスやカリフォルニアなどを含む北部地域への布教拠点としてこの地を重視し、聖堂が次々と建てられました。その代表が、18世紀半ばに建設されたサカテカス大聖堂です。この大聖堂は「チュリゲラ様式」と呼ばれるスペインで発展したバロック様式(ウルトラ・バロック)の傑作といわれ、特にファサードは精巧な彫刻の装飾で隙間なく覆われています。一方、内部の装飾が比較的簡素なのは、19世紀の内戦や20世紀初頭の革命で荒らされたためです。近くのサント・ドミンゴ教会も同じチュリゲラ様式で建てられていますが、外観は控えめで、内部は黄金に輝く豪華な装飾が施されており、サカテカス大聖堂とは対照的な美しさを見せています。

アクセス

メキシコ・シティ国際空港からヘネラル・レオバルド・ルイス国際空港まで約1時間半。空港からサカテカスまで、車で約30分。

執筆協力者PROFILE

清泉女学院中学高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

幼少期に飛行機から見たさまざまな地形や街の姿に魅了され、大学で地理学を専攻。教壇に立つなかで世界遺産の可能性に惹かれ、世界遺産検定マイスターに。気象予報士の資格を持ち、趣味で各地の世界遺産とそこにみられる気候・気象現象との関連を探っている。

遺産DATA

地域 : 北米
分類 : 文化遺産
登録年 : 1993年
登録基準 : (ii) (iv)
遺産の面積 : 2.0772㎢
バッファ・ゾーン : 1.0915㎢
座標 :N22 46 31.742 W102 34 24.7

アクセス

メキシコ・シティ国際空港からヘネラル・レオバルド・ルイス国際空港まで約1時間半。空港からサカテカスまで、車で約30分。

執筆協力者PROFILE

清泉女学院中学高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

幼少期に飛行機から見たさまざまな地形や街の姿に魅了され、大学で地理学を専攻。教壇に立つなかで世界遺産の可能性に惹かれ、世界遺産検定マイスターに。気象予報士の資格を持ち、趣味で各地の世界遺産とそこにみられる気候・気象現象との関連を探っている。