徳之島
面積は比較的小さいが、固有種や希少種が多く、生物多様性が豊か

4島で唯一、登録区域が2つに分かれる島

徳之島は、鹿児島市から南に約450kmに位置する中琉球の島で、世界遺産に登録された4島の中で最小の島です。登録区域が4島で唯一、島の最高峰・井之川岳(標高645m)でアマミノクロウサギなどが生息する中央部と、標高533mの天城岳のある北部の2か所に分かれています。これらの山々ではスダジイを中心とする亜熱帯照葉樹林が広がっており、島の固有種トクノシマトゲネズミやオビトカゲモドキなど、遺存固有種の生物が多く生息しています。

自然保護を最優先した条例で環境保護に努める

徳之島町では2018年4月に林道周辺の自然環境を保全するための林道管理条例を制定し、翌年7月から同条例に基づいて、認定エコツアーガイドや調査研究などの目的以外は「林道 山クビリ線」の通行を制限する規則を定めました。山クビリ線は天城岳とその南に位置する三方通岳(標高497m)の間を通る林道です。これは世界遺産登録前からの措置で、車が通行することで動物を死なせてしまうロードキルの誘発や、振動や照明による生活環境の悪化、希少な植物の盗掘などを未然に防ごうと定めたものです。行政が保護を目的とした条例を制定する積極的な取り組みが、希少な動植物たちの保護へとつながっています。

希少生物との共生と世界遺産の正しい知識の定着を目指す

マングースの駆除や希少な動植物への保護意識の高まりなどから、豊富な生物多様性が維持されています。その一方で、鳥獣による農作物への被害も報告されています。鹿児島県が示しているデータでは、アマミノクロウサギによる被害(奄美群島全体)は2017年度から報告されており、2024年度の被害額は約1,000万円だったそうです。サトウキビや柑橘類のタンカンの木がかじられるなどの被害がある中で、柵を設置して被害を抑える取り組みが広がり、共生を目指す動きが広まっています。また天城町では郷土愛を育む世界自然遺産の学習「あまぎ学」を展開しており、ガバメントクラウドファンディングの制度を活かしてあまぎ学の副読本を制作し、希少な動植物への知識を深めるなど、教育の充実へとつなげています。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/MENSA会員

民間企業勤務のサラリーマンで、知識量よりも考え方の多様性を充実させることに重きを置く。暫定リスト入りを目指している「四国八十八箇所霊場と遍路道」で、お接待などで外国人やお遍路さんに遍路文化や世界遺産の魅力を伝える活動をライフワークにしている。趣味は辺境地の世界遺産巡り、世界遺産関連の書籍や手ぬぐいの収集、発酵食品作りなど。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/MENSA会員

民間企業勤務のサラリーマンで、知識量よりも考え方の多様性を充実させることに重きを置く。暫定リスト入りを目指している「四国八十八箇所霊場と遍路道」で、お接待などで外国人やお遍路さんに遍路文化や世界遺産の魅力を伝える活動をライフワークにしている。趣味は辺境地の世界遺産巡り、世界遺産関連の書籍や手ぬぐいの収集、発酵食品作りなど。