奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島
西表島の仲間川には、後良川のものと並び、国内最大の規模のマングローブ林がある

遺産DATA

地域 : 東・東南アジア 保有国 : 日本国 所在地 : 鹿児島県、沖縄県 分類 : 自然遺産 登録年 : 2021年 登録基準 : (x) 遺産の面積 : 426.98㎢ バッファ・ゾーン : 244.67㎢ 座標 : N28 16 45 E129 22 42

about

希少な生物と固有の進化が織りなす生態的多様性の宝庫

この地域は、絶滅危惧種や固有種が多く生息する生物多様性のホットスポットです。多くの分類群において多くの種が確認されており、ヤンバルクイナやノグチゲラなどの絶滅危惧種、中琉球と南琉球に固有の種も多く見られます。また、アマミノクロウサギなどの飛翔能力を持たない陸生脊椎動物や植物においても、固有種が多く存在する独特な生物相が形成されています。さまざまな固有種の進化だけでなく、環境の変化の中で特定の地域にのみ残った遺存固有種や、独自の進化を遂げた種の例も多く確認されています。

亜熱帯の森が織りなす豊かな生態系

奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島は、亜熱帯地域に位置しており、黒潮とモンスーンの影響を受ける亜熱帯海洋性気候に属しています。年間降水量は2,000mm以上に達し、多雨林が発達する世界的にも珍しい地域です。これらの森林は湿潤な気候と豊かな土壌に支えられ、固有種を含む多様な植物や動物が共生しています。

渓流帯とマングローブが育む多様な動植物の生息地

島の約90%が森林に覆われており、4島の中でも自然植生の割合が最も高いのが西表島です。仲間川や後良川の河口部には、国内最大級のマングローブ林が広がっており、多様な水生生物の生息地となっています。また、西表島は4島の中で唯一食肉目の動物が生息しており、ヤマネコが生息する世界で最も小さい島でもあります。

 

アクセス

奄美大島へは飛行機の利用が一般的。空港から中心地までは車で約30分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。

Details

Amami-Oshima Island
奄美大島は、中琉球に位置する奄美群島で最大の島です。群島最高峰の湯湾岳(標高694m)に代表されるように、面積の8割以上を森林が占めています。スダジイの自然林や、カシやシイの切り株や根から新しい芽が伸びてできる萌芽林のほか、汽水域には西表島に次いで国内で2番目に広いマングローブ林があります。そのような豊かな植生に守られるように、奄美大島の固有種で、オスになることを決める「Y染色体」を持たないのにオスが誕生する哺乳類アマミトゲネズミや、「日本一美しいカエル」と称される金褐色の斑紋が目を引くアマミイシカワガエルなど、特徴的な動物が多く存在しています。また、奄美大島と徳之島の固有種の哺乳類アマミノクロウサギや、絶滅のおそれのある鳥類のルリカケスなど、遺存固有種の動植物も多く生息しています。
Tokunoshima Island
徳之島は、鹿児島市から南に約450kmに位置する中琉球の島で、世界遺産に登録された4島の中で最小の島です。登録区域が4島で唯一、島の最高峰・井之川岳(標高645m)でアマミノクロウサギなどが生息する中央部と、標高533mの天城岳のある北部の2か所に分かれています。これらの山々ではスダジイを中心とする亜熱帯照葉樹林が広がっており、島の固有種トクノシマトゲネズミやオビトカゲモドキなど、遺存固有種の生物が多く生息しています。
Northern part of Okinawa Island
沖縄本島最高峰の与那覇岳(標高503m)や伊湯岳(446m)などの山々がある沖縄島北部が「やんばる(山原)」です。範囲の明確な定義はないものの、国頭村、大宜味村、東村の3村を世界遺産では「やんばる3村」と呼んでいます。3つの村にまたがる「やんばる国立公園」には、国内最大級の亜熱帯雨林が広がります。飛べない鳥として知られるヤンバルクイナや沖縄県の県鳥でもあるノグチゲラのほか、遺存固有種のオキナワトゲネズミやヤンバルテナガコガネ、オキナワイシカワガエル、1996年に初めて見つかったヤンバルホオヒゲコウモリなど、希少な生物が存在します。また、与那覇岳などの斜面には豊富な降水量に裏打ちされた雲霧林が広がっています。20~30度の傾斜地が多いため、多量の雨水の流入によって川床と川岸が周期的に冠水する「渓流帯」が存在し、環境に適応した渓流植生が根を張っており、今でも新種が発見されています。
Iriomote Islands
西表島は4島の中で唯一南琉球に位置する島です。現在の琉球列島は、およそ1,200万年前までユーラシア大陸とひと続きでした。200万年前ごろまでに起きた大規模な地殻変動の影響で、ユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込み、現在の琉球列島西側に「沖縄トラフ」と呼ばれる海域が生まれ、徐々に大陸と切り離されました。しかし、南琉球では海面が低下する氷期、海面が上昇する間氷期が繰り返される中、大陸とつながったり離れたりを繰り返し、長い間大陸の生き物が行き来する環境となり、最終的にはその一部が現在の西表島に取り残されました。中琉球では「生きる化石」とも言える遺存固有種が多く見られるのが特徴的である一方で、南琉球に位置する西表島ではほとんどみられず、近縁種が大陸に存在するイリオモテヤマネコなど新固有種が多く生息しているのが特徴として挙げられます。

遺産DATA

保有国 : 日本国
所在地 : 鹿児島県、沖縄県
分類 : 自然遺産
登録年 : 2021年
登録基準 : (x)
遺産の面積 : 426.98㎢
バッファ・ゾーン : 244.67㎢
座標 :N28 16 45 E129 22 42

アクセス

奄美大島へは飛行機の利用が一般的。空港から中心地までは車で約30分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。