ギョレメ国立公園
現在観光の目玉となっている気球ツアーは1991年から始められたもの

信奉心が詰まったカッパドキアの奇岩

トルコの首都アンカラの南東約250㎞に位置する国立公園で、約95㎢の広さを有します。アナトリア山脈と黒海、トルコの世界遺産暫定リストにも記載されている塩湖・トッズ湖に囲まれたエリアが「カッパドキア」で、キノコの形や先のとがった形などさまざまな形の奇岩の群れで有名です。岩の削りやすさを利用して洞窟の住居がつくられ、宗教弾圧が進むと身を隠すようにキリスト教徒が洞窟聖堂や洞窟修道院をつくりました。今ではギョレメ渓谷に約30の洞窟聖堂が残っています。現地では、気球に乗って上空から奇岩の群れを眺めるアクティビティが人気を集めています。

「リンゴの聖堂」
「リンゴの聖堂」と呼ばれる洞窟聖堂(©natalia_maroz/Adobe Stock)

観光開発による景観の損傷

この世界遺産は登録基準(i)(iii)(v)のほかに、岩山が削られてできたフードゥー地形などがひときわ美しい自然美だとして登録基準(vii)が認められており、複合遺産として登録されています。しかし近年は観光による弊害も懸念されています。2025年10月に開かれたIUCNの世界自然保護会議では、カッパドキアでの違法建築物を建てたり道路を敷設したりするなかで建造物に亀裂が生じているほか、四輪バギーを使ったアクティビティなどが自然遺産を損傷させると指摘。また、灌漑用のダムの建造に伴い周辺の湿度上昇をもたらし、建築資材の劣化を加速させるなどとして、重大な懸念を示しています。世界的に注目を集める観光地である一方で、将来を見据えた顕著な普遍的価値の保護について考えていく現状に直面しています。

ウチヒサル城
写真中央は岩山を活かした天然の要塞、ウチヒサル城(©twabian/Adobe Stock)

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/MENSA会員

民間企業勤務のサラリーマンで、知識量よりも考え方の多様性を充実させることに重きを置く。暫定リスト入りを目指している「四国八十八箇所霊場と遍路道」で、お接待などで外国人やお遍路さんに遍路文化や世界遺産の魅力を伝える活動をライフワークにしている。趣味は辺境地の世界遺産巡り、世界遺産関連の書籍や手ぬぐいの収集、発酵食品作りなど。

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民間企業勤務のサラリーマンで、知識量よりも考え方の多様性を充実させることに重きを置く。暫定リスト入りを目指している「四国八十八箇所霊場と遍路道」で、お接待などで外国人やお遍路さんに遍路文化や世界遺産の魅力を伝える活動をライフワークにしている。趣味は辺境地の世界遺産巡り、世界遺産関連の書籍や手ぬぐいの収集、発酵食品作りなど。