フレデリック・C・ロビー邸
水平を強調したプレイリースタイルの代表例(©Xiquinho Silva/flickr/CC BY 2.0

シカゴ大キャンパス内に位置する文化遺産

1908年に設計され、1910年に完成したフレデリック・C・ロビー邸は、シカゴのハイドパーク地区にあるシカゴ大学のキャンパス内に位置しています。3階建てで、建物全体の面積が約836㎡あるこの住宅は、全体的に水平方向のフォルムが特徴的です。黄褐色から赤褐色のローマレンガで造られた細長い部屋と機能的なエリアが、石材で装飾された低い寄棟屋根(よせむねやね)の下に配置されています。フレデリック・C・ロビーは自転車やミシンの製造で成功した実業家で、耐火性と最先端の設備、そしてお手頃な価格を兼ね備えた住宅を求めていました。

フレデリック・C・ロビー邸
外に張り出した軒と水平方向に並ぶ縦長の窓が特徴的(©Warren LeMay/flickr/CC BY-SA 2.0

水平性を強調した設計

水平性をさらに強調するため、レンガの水平方向の目地にはクリーム色のモルタルが、垂直方向の目地にはレンガと同色のモルタルが使用されています。これにより、遠くから見ると水平方向の色の連続した線が印象的に浮かび上がり、個々のレンガの存在感は最小限に抑えられています。このように壁や窓、張り出しポーチ、屋根の水平線が、全体のデザインにおける水平性の強調に貢献しているのです。また、天井と床の鉄骨梁が建物の重量の大部分を東西両端の柱で支え、外壁にかかる荷重を最小限に抑えているため、開放的な間取りを際立たせるドアや窓を多く設けることができています。

フレデリック・C・ロビー邸
ライトは建築とインテリアを不可分のものと考え、内装や窓、照明、家具までを一体的に構想した(©Warren LeMay/flickr/CC BY-SA 2.0

アメリカの大草原を思わせる建築様式

ロビー邸は、フランク・ロイド・ライトのプレイリースタイルの住宅の中で、最も有名で最も影響力のある作品です。「プレイリー(大草原)」という用語は、20世紀初頭にライトが設計した住宅群に対して用いられてきました。これは、当時の典型的な住宅建築とは対照的な、水平方向への広がりと、アメリカ中西部の広大な草原の風景を思わせる建築様式です。さらに、3台収容可能なガレージと自動車用の中庭が併設されていることは、アメリカの近代住宅建築において、自動車を不可欠な要素として取り入れた初期の事例と言えます。

フレデリック・C・ロビー邸
居間や食堂などを壁で完全に区切らず、緩やかに連続させる設計は、近代的な住宅空間の先駆けとなった(©Warren LeMay/flickr/CC BY-SA 2.0

執筆協力者PROFILE

アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。

執筆協力者PROFILE

アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。