ハーバート・キャサリン・ジェイコブス邸
ライトがアメリカの一般家庭のために考案した、簡素で経済的な住宅形式「ユーソニア住宅」の最初の例(©Warren LeMay/flickr/CC BY-SA 2.0

一般家庭向けに設計された平屋建て住宅

ハーバート・キャサリン・ジェイコブス邸は、1936年に設計され、1936年から1937年にかけてウィスコンシン州マディソンに建設された邸宅です。この邸宅は、ライトが提唱した「ユーソニアン住宅」の最初の作品として知られています。「ユーソニア」とは、フランク・ロイド・ライトが平均的なアメリカ人のための建築ビジョンを表現するために用いた言葉です。ユーソニアン住宅は、使用人を雇わない一般的な家族向けに、コンパクトかつ質素に設計された平屋建ての住宅で、庭を囲むようなL字型の配置が特徴です。これにより、室内の空間と野外の庭が視覚的に強く結びつけられており、これこそがユーソニアン住宅の大きな魅力となっています。

大恐慌時代、一般のアメリカ人が抱く理想の暮らしとニーズに応えた住まい

1930年代の大恐慌時代に建てられたこの住宅は、郊外に一戸建てを構えたいという、一般のアメリカ人の住宅ニーズにしっかりと応えました。建物はシンプルな材料で建てられており、自然に室温を下げるための大きな庇(ひさし)を持つ平屋根が特徴です。また、床暖房システム用の配管を組み込んだコンクリートスラブ(床板)の上に建てられています。このスラブの表面には、ライトが設計に用いた「ツー・バイ・フォー」(61㎝×122㎝)のモジュールユニットシステムのラインが刻まれています。このように建築部材のサイズを標準化したことは、建築コストを低く抑える上で非常に重要な要素となりました。

執筆協力者PROFILE

アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。

執筆協力者PROFILE

アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。