元興寺
本堂。極楽堂、曼荼羅堂とも呼ばれる

構成資産DATA

地域 : 東・東南アジア 保有国 : 日本国 登録名 : 古都奈良の文化財

蘇我馬子による氏寺から平城遷都に伴い官大寺へ

元興寺は、蘇我馬子が6世紀に創立した日本最初の本格的寺院である飛鳥寺(法興寺)を起源としています。平城京遷都に伴って飛鳥から移転し、そのしばらく後に造営が始まり、8世紀後半にかけて大伽藍が整えられました。朝廷の保護を受けた南都七大寺のひとつとして発展し、三論・ほっそうなど教学の中心となりました。現在、市内中心部で町家が軒を連ねる「ならまち」として親しまれる一帯は、奈良時代にはほぼ全域が元興寺の境内でした。広大な敷地には金堂や講堂、五重塔などが立ち並び、南都を代表する大寺院として隆盛を誇りました。しかし、律令国家の衰退によって、経済的基盤を失い、元興寺は徐々に凋落の道をたどりました。

のちに浄土教の念仏道場として発展

10世紀以降になると来世での往生を願う浄土思想が広まっていきました。後に「極楽坊」と呼ばれる僧房は、本尊の「智光曼荼羅」が庶民の信仰を集めるようになるにしたがい、浄土教の念仏道場として栄えていきました。僧房は鎌倉時代に大改造され、極楽坊・本堂と禅室になりました。和様にだいぶつようを一部取り入れた様式となっています。そして屋根を覆っている瓦には、現存する日本最古級のものも含まれています。最古の瓦は1,400年以上前に百済の職人により作られたもので、もとは飛鳥寺の屋根を葺いていました。飛鳥から平城京への移転に際して、瓦も運ばれて再利用されたと伝えられています。また、禅室の天井裏には、かつて実施された昭和大修理の際に、再使用には耐えないとされた多くの建築部材が保管されています。奈良文化財研究所が2000年に材を年輪年代法で測定したところ、それらのなかには6世紀末に伐採されたものもあることがわかりました。

屋根
屋根には飛鳥時代から奈良時代にかけて製作された古い瓦も使用されている(©岳男 小池/Adobe Stock)
浮図田
浮図田(ふとでん)と呼ばれる石塔、石佛群。中世から江戸時代にかけての供養石造物約1,500基が保存されている(©naoko/Adobe Stock)

執筆協力者PROFILE

記者(フリーランス)/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。

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記者(フリーランス)/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。