春日山原始林
国の特別天然記念物に指定されているが、遊歩道が整備されゆったりと散策できる

構成資産DATA

地域 : 東・東南アジア 保有国 : 日本国 登録名 : 古都奈良の文化財

約800種の植物に加え、多くの昆虫、野鳥、哺乳類が暮らす森

奈良市の市街地東方に位置する春日山原始林は、春日大社の神山・かさやまの後方に広がり、美しい稜線を形成している緑豊かな森です。ここは841年に仁明天皇の勅命により狩猟と伐採が禁止され、春日大社の神域として守られてきました。常緑のシイやカシなどの照葉樹林が広がるなかに、「春日杉」と呼ばれるスギやモミ、ツガといった針葉樹、ツル性植物やシダ植物など、約800種もの植物が生育しています。また、メタリックブルーの体をもつルリセンチコガネをはじめとする昆虫類、さまざまな野鳥、シカやムササビなど哺乳類の住処でもあります。市街地に隣接しながらも原始的な姿を保っているこの森は、その貴重な植生が評価され、1924年に天然記念物、1955年には特別天然記念物に指定されました。

平安~鎌倉時代は僧たちの修行の場

自然のなかに神の存在を感じるという、日本人の伝統的な自然観と深く結びついて今日まで伝えられてきた春日山原始林は、古くから『万葉集』にも詠まれ、春日大社と一体となった「鎮守の森」です。山の木々が一斉に枯れる「さんぼくこう」という異変のたびに執り行われた神事や、水源や分水嶺に建てられた末社の存在は、この場所がいかに神域として尊重されてきたかを物語っています。平安時代から鎌倉時代には、僧たちの修行の場としても機能していました。ここには、六角形の石柱の上部に仏頭が丸彫りされた「洞の仏頭石」や、洞窟の壁面に彫られた「春日山石窟仏」などの石仏も残され、古の人々の信仰を今に伝えています。

執筆協力者PROFILE

記者(フリーランス)/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。

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執筆協力者PROFILE

記者(フリーランス)/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。