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ムガル帝国の栄華を象徴するレッド・フォート
ムガル帝国を大国へと導いた皇帝アクバルの孫であり、同帝国の最盛期を築いた5代皇帝シャー・ジャハーンは、世界遺産『タージ・マハル』の建造者として広く知られています。しかし彼の建築への情熱はそれだけにとどまらず、生涯に数々の壮麗な建造物を残しました。その一つが、デリーにあるレッド・フォート(ヒンディー語で「ラール・キラー」)です。レッド・フォートは、シャー・ジャハーンが17世紀半ばに都をアーグラからシャージャハナバード(現在のデリー)へ移した際に築いた居城で、赤い砂岩の城壁が特徴的です。また、隣接する16世紀建造の城塞サリームガルとともに世界遺産に登録され、シャー・ジャハーンの建築美学とムガル帝国の栄華を象徴する重要な遺構となっています。

ムガル建築の芸術的発展と革新的な都市計画
レッド・フォート(赤い城)という名は、同国の世界遺産『アーグラ城』と同じく、城壁が赤い砂岩で造られていることに由来します。城内には、コーランに描かれた楽園を模したイスラム建築を基礎とする宮殿や庭園が広がっています。一方、「ナーリ・イ・ビヒシュト(天国の川)」と呼ばれる水路で結ばれた美しい別館群には、ペルシアやティムール朝、ヒンドゥー教の伝統が融合したムガル建築ならではの特徴が見られます。これらの建造物は、ムガル帝国の創造性が最高潮に達したことを象徴する存在であり、またレッド・フォートで導入された革新的な都市計画や庭園デザインを含む建築様式は、その後のインド各地の建築にも大きな影響を与えました。
インドの歴史の転換点となった重要な出来事の舞台
レッド・フォートは、シャー・ジャハーンの治世以来、権力の象徴として存在してきました。1857年のインド大反乱ではイギリス軍に接収され、インドがイギリスの直接的な支配下に置かれる歴史的転換の舞台にもなりました。また、独立が初めて祝われた場所でもあり、現在も毎年8月の独立記念日には式典が行われ、首相がここで演説を行うことが慣例となっています。このようにレッド・フォートは、インドの歴史とアイデンティティを形づくる重要な出来事を数多く見届けてきた象徴的な場所なのです。
アクセス
オールドデリーの中心地から徒歩で約15分。
執筆協力者PROFILE
幼少期に飛行機から見たさまざまな地形や街の姿に魅了され、大学で地理学を専攻。教壇に立つなかで世界遺産の可能性に惹かれ、世界遺産検定マイスターに。気象予報士の資格を持ち、趣味で各地の世界遺産とそこにみられる気候・気象現象との関連を探っている。
アクセス
オールドデリーの中心地から徒歩で約15分。
執筆協力者PROFILE
幼少期に飛行機から見たさまざまな地形や街の姿に魅了され、大学で地理学を専攻。教壇に立つなかで世界遺産の可能性に惹かれ、世界遺産検定マイスターに。気象予報士の資格を持ち、趣味で各地の世界遺産とそこにみられる気候・気象現象との関連を探っている。
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