about
ヨーロッパの芸術・建築様式と地元の文化が融合した施設
ブラジル北部のベレンにあるテアトロ・ダ・パス(平和劇場)とレプブリカ広場、およびマナウスにあるテアトロ・アマゾナス(アマゾナス劇場)とサン・セバスチャン広場で構成される遺産です。19世紀後半のブラジルは、ヨーロッパでの産業革命を受けて、アマゾン熱帯雨林での天然ゴム採取と貿易で繁栄を遂げていました。2つの施設はその富によって築かれたもので、当時のブラジルの経済力を象徴する存在でした。ヨーロッパの芸術様式と技術をベースに、地元産の資材を使用しているほか、アマゾンの文化・自然をテーマとする美術作品が飾られています。
君主制からの区別と、共和国の成立の象徴
1878年、ベレンに開館した「テアトロ・ダ・パス(平和劇場)」は、1864~1870年のパラグアイ戦争の終結を記念して名付けられた劇場です。当時のベレンは、大西洋と北アメリカを結ぶ航路上の拠点であり、ゴムの輸出によって大いに発展しました。劇場は新古典主義様式でつくられ、後にイギリス製の錬鉄、イタリアのカッラーラ産大理石、フランス製のブロンズ像など豪華な装飾品が置かれて改装されました。ヨーロッパ風の礼儀作法や文化を取り入れたエリート層だけでなく、学生や労働者も鑑賞できるように無料の公演も実施されました。また、劇場は当時の社会運動や政治運動の舞台ともなり、1870~1880年代の奴隷解放運動に際しては、解放のための資金を募る芸術公演が開催されました。劇場前のレプブリカ広場は、1889年にブラジルで共和制が樹立されて整備されました。この劇場と広場は、君主制から共和制への転換を象徴しています。

「熱帯のパリ」と呼ばれたマナウスの成長の象徴
当時のマナウスはゴム産業の発展により、小さな集落から5万人が暮らす都市へと成長し、「熱帯のパリ」と呼ばれるまでになっていました。その象徴的存在のテアトロ・アマゾナスは、ネオ・ルネサンス様式で建てられたイタリア式の劇場です。客席は1階の平土間席と2~4階のバルコニー席があり、約700人を収容することができます。建設資材の大半はヨーロッパから輸入されたもので、英国のグラスゴー製の鉄材や、フランスから取り寄せたルイ15世様式の家具、ヴェネツィアのムラーノ島で製作されたガラスを用いたシャンデリアなどもあります。ヨーロッパ人建築家や芸術家とブラジル人芸術家の協働によって造られたこの劇場は、ゴム景気によってもたらされた莫大な富と、当時の支配層が理想とした進歩や文明、ヨーロッパ的文化への憧れを象徴する建築でした。劇場前に広がるサン・セバスチャン広場には、アマゾン地域の港湾が国際貿易に開放されたことを記念するモニュメントが立っています。
アクセス
【テアトロ・ダ・パス】日本からカタールのドーハや、ブラジルのサンパウロなどを経由して、ベレン国際空港まで約35~40時間。そこから車で約30分。
【テアトロ・アマゾナス】日本からUAEのドバイや、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロなどを経由して、マナウスのエドワルド・ゴメス空港まで約40時間。そこから車で約30分。
執筆協力者PROFILE
東京外国語大学言語文化学部卒。在学中にパレスチナやヨルダンなど中東地域への留学を経験。大手メディア企業勤務を経て、2021年より現職。書籍やテレビ番組等の監修を行う。
≫世界遺産の執筆記事一覧
≫構成資産・みどころの執筆記事一覧
アクセス
【テアトロ・ダ・パス】日本からカタールのドーハや、ブラジルのサンパウロなどを経由して、ベレン国際空港まで約35~40時間。そこから車で約30分。
【テアトロ・アマゾナス】日本からUAEのドバイや、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロなどを経由して、マナウスのエドワルド・ゴメス空港まで約40時間。そこから車で約30分。
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東京外国語大学言語文化学部卒。在学中にパレスチナやヨルダンなど中東地域への留学を経験。大手メディア企業勤務を経て、2021年より現職。書籍やテレビ番組等の監修を行う。
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