タリアセン・ウエスト
緑豊かな丘陵地に築かれた「タリアセン」とは対照的な、アリゾナ州の乾燥した砂漠景観の中に建てられた(©Bob Familiar/flickr/CC BY 2.0

広大な砂漠の真ん中で、荒々しい自然素材が織りなす空間美を放つ建造物群

1938年に設計・建造されたタリアセン・ウエストは、アリゾナ州スコッツデールに位置しています。ここはフランク・ロイド・ライトが晩年の20年間を過ごした冬の住居であり、同時に弟子たちのスタジオでもありました。砂漠の中にたたずむ半透明の屋根を持った恒久的な建造物群は、建物と周囲の景観が新たな形で融合した姿を示しています。アリゾナ州をはじめとするアメリカ南西部の砂漠地帯において、タリアセン・ウエストは、その土地の風土に根差した革新的かつ新たな建築形態を確立しました。

砂漠景観になじむ、砂を混ぜた建材を利用

主要な建物には「砂漠の石積み工法」が用いられています。これは地元の火山岩に、現地の砂漠の砂とセメントを混ぜ合わせたコンクリートを組み合わせたもので、表面はまるで瓦礫のような独特の外観を呈しています。この工法が建物に決定的な特徴を与えており、文字通り、そして象徴的にも、砂漠という環境との深い結び付きを生み出しているのです。周囲に広がる砂漠や山々の美しい眺望は、タリアセン・ウエストを訪れる人々にとって非常に重要な要素となっています。在来植物や水を取り入れた演出、その他の景観要素をふんだんに用いることで、この建築は単なる建物にとどまらず、その土地固有の景観建築作品としての側面も持ち合わせています。複合施設内のすべての空間は、豊かな自然景観とそのドラマチックな表情を存分に堪能できるよう、緻密に設計されています。

執筆協力者PROFILE

アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。

執筆協力者PROFILE

アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。