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神話の舞台となった 畏敬の山岳景観
ギリシャ中部のマケドニア地方とテッサリア地方の境にそびえるオリンポス山は、標高2,918mを誇る同国最高峰です。エーゲ海の海岸線にほど近い場所に位置し、岩峰や峡谷、渓流が織りなす景観が広がります。山頂付近はしばしば雲や霧、雪に覆われ、荒天になることも多く、こうした近寄りがたい自然環境が古来人々に畏敬の念を抱かせてきました。古代ギリシャの人々は、険しく神秘的なこの山に神々が暮らしていると考え、オリンポス山はギリシャ神話の中心的な舞台として語り継がれるようになりました。
オリンポス十二神への信仰
古代ギリシャの人々は、オリンポス山はギリシャ神話に登場するオリンポス12神をはじめ、神々が住まう場所と考えてきました。ホメロスの二大叙事詩『イリアス』と『オデュッセイア』では、オリンポス山は神々の住処として何度も登場し、神話は山中の地形や自然現象と密接に結びつけられています。現在のオリンポス山にも、ギリシャ神話に登場する神や逸話にちなむ名称がつけられている場所があります。また、山麓に紀元前5世紀に建設された都市・ディオンは、オリンポスの神々への信仰と儀礼の拠点で、神殿や聖域が山の方向を向くように配置されていました。紀元前4世紀には、アレクサンドロス大王が東方遠征への出発前にディオンでゼウスに犠牲を捧げる儀式が行われたと伝わっており、実際に「聖アントニオスの峰」などでは、宗教儀礼とかかわりのある遺物が発見されています。こうした信仰とギリシャ神話は、ヨーロッパをはじめ、世界各地の芸術や文学、科学に大きな影響を与えて決ました。「オリンポス」の名は、偉大さや卓越性の象徴として用いられることが多く、アメリカやニュージーランドに同名の山があるほか、火星にある太陽系最大級の火山にもその名前が付けられています。
多彩な生態系を育む生物多様性の宝庫
オリンポス山は、地殻変動によって形成された急峻な地形をもち、標高差に応じてさまざまな植生が発達しています。山麓には森林が広がる一方、高山帯では草原や岩場が見られ、山頂付近には植生がほとんど存在せず、ほぼ一年を通じて雪が残る場所もあります。オリンポス山は、類似した世界遺産に比べて生物多様性が非常に高いと考えられています。ここでは、ギリシャ全土の植物相の約25%に相当する1,700種以上の植物が確認されています。なかでもイワタバコ科のRamonda heldreichiiは、更新世の遺存種と考えられています。動物相では、鳥類135種、哺乳類40種、両生類10種、爬虫類24種が生息しており、IUCNのレッドリストで絶滅危惧種に指定されているヨーロッパユビナガコウモリやヘルマンリクガメ、タマムシ科のブプレスティス・スプレンデンスなども含まれます。
アクセス
日本(成田空港)からイスランブルやフランクフルトなどを経由して、テッサロニキ空港まで飛行機で約20時間。テッサロニキからオリンポス山麓の街リトホロまで、電車で1時間半。
執筆協力者PROFILE
東京外国語大学言語文化学部卒。在学中にパレスチナやヨルダンなど中東地域への留学を経験。大手メディア企業勤務を経て、2021年より現職。書籍やテレビ番組等の監修を行う。
≫世界遺産の執筆記事一覧
≫構成資産・みどころの執筆記事一覧
アクセス
日本(成田空港)からイスランブルやフランクフルトなどを経由して、テッサロニキ空港まで飛行機で約20時間。テッサロニキからオリンポス山麓の街リトホロまで、電車で1時間半。
執筆協力者PROFILE
東京外国語大学言語文化学部卒。在学中にパレスチナやヨルダンなど中東地域への留学を経験。大手メディア企業勤務を経て、2021年より現職。書籍やテレビ番組等の監修を行う。
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