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古代からの交易の中心地に残る都市遺跡や隊商宿跡
2014年に世界遺産登録された『シルク・ロード:長安から天山回廊の交易網』(カザフスタン、キルギス、中国)に続いて、2023年にウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンの3ヵ国に点在するシルク・ロード関連資産が『シルク・ロード:ザラフシャン・カラクム回廊』として登録されました。「シルク・ロード」を冠する世界遺産としては2件目です。ザラフシャン・カラクム回廊は、ザラフシャン川沿いの地域からカラクム砂漠を経てメルヴ・オアシスに至る約866kmの回廊で、紀元前4~後19世紀までの長期間にわたり、シルク・ロード交易の中心地でした。世界遺産には「パンジケントの古代都市」や「ヴァプケントのミナレット」、その他集落や隊商宿(キャラバンサライ)の遺跡など、合計34の物件が登録されており、うち16件がウズベキスタンに、9件がタジキスタンとトルクメニスタンにそれぞれ存在しています。すでに別の世界遺産として登録されていたウズベキスタンの『文化交差路サマルカンド』と『ブハラの歴史地区』、トルクメニスタンの『国立歴史文化公園“メルヴ”』は、構成資産には含まれていないものの、ザラフシャン・カラクム回廊の歴史に深い関わりを持っています。

シルク・ロード交易の繁栄と東西交流
この地はシルク・ロード交易で活躍したソグド人商人たちの故郷で「ソグディアナ」と呼ばれていました。5世紀頃から交易活動が活発化し、イスラム勢力が進出した8世紀以降も「マー・ワラー・アンナフル」と呼ばれ都市文化が発達、さらに13世紀からのモンゴルの統治下でも繁栄を続けました。交易では、絹だけでなく貴金属や香辛料、陶器などさまざまなものが取引され、さらに物の運搬に付随する人の移動に伴って、各地の文化・芸術や宗教他が東から西へ西から東へと伝わっていきました。また、この地域は政治的にも安定していたため、イラン人、テュルク系民族、モンゴル人、インド人、スラブ人、チベット人、中国人など、各地から人々が集まりました。その結果、多種多様な民族や文化、宗教、科学、技術の交流の場となりました。

アクセス
サマルカンドやブハラといった都市を拠点として巡るのがおすすめ。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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サマルカンドやブハラといった都市を拠点として巡るのがおすすめ。
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早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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