構成資産DATA
「何も乱すことなく存在する」サヴォワ夫妻の別荘
1928年、ピエール・サヴォワとウジェニー・サヴォワ夫妻は、パリ郊外のポワシーに週末を過ごすための別荘を建てることを決めました。彼らは、当時すでに前衛的な作品で知られていた建築家ル・コルビュジエに別荘の建築を依頼しました。その依頼はサヴォワ夫人からル・コルビュジエに宛てた手紙によって行われ、そこには温水設備、電気やガスの設備、照明の雰囲気や床材の指定など細かな要望が具体的に記されていました。この建築には、ル・コルビュジエの従兄弟であるピエール・ジャンヌレも協力しました。当時のポワシーはのどかな田園地帯で、別荘の敷地はセーヌ川を望む木々に囲まれた広大な草地でした。ル・コルビュジエはこの自然環境をできるだけ損なわないように、「家は草地の上に、何も乱すことなく置かれた物体のように存在するべきだ」と考え建築に取り組んだのです。
研究してきた新しい建築素材と技術の集大成
サヴォワ邸は、ル・コルビュジエが研究を続けてきた「ピュリスム(近代にふさわしい芸術をつくろうとする運動)」の集大成でもありました。新しい建築素材と技術が使われたこの建物には、彼が提唱した「近代建築の五原則」である、ピロティ・屋上庭園・自由な平面設計・水平連続窓・自由なファサードのすべてが取り入れられています。ル・コルビュジエはただ別荘を建てたのではなく、「建築的プロムナード(建物の中を歩いて鑑賞する空間)」を作り上げたのです。さらにサヴォワ家が所有する自動車までもが建築の一部と考えられ、その動線やサイズが、玄関ホールの曲線や車寄せの広さを決定する重要な要素となったのです。

唯一実現した「最小限の家」
サヴォワ邸の入口近くにある庭師小屋は、ル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレが1929年の第2回CIAM(近代建築国際会議)で提案した「最小限の家」を実現させた唯一の建物です。広さ40㎡ほどの小さな住宅で、3人家族向けに設計されました。引き戸によって、夜はキッチンを閉じ、昼は寝室を閉じるなど、限られた空間を柔軟に使える工夫を施し、さらに窓下に収納を設けることでスペースを有効に活用できるようになっています。
執筆協力者PROFILE
兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。
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兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。
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