ヴァイセンホフ・ジードルングの住宅
革新的な「ドイツらしくない」設計は、近隣に伝統主義的な対抗住宅地が建てられるほどの反発も招いた(©Jaimrsilva/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0

住宅建築展で大きな注目を集めた現代住宅のモデル

ドイツ南西部のシュトゥットガルトにあるヴァイセンホフ・ジードルングの住宅は、大量生産できる現代住宅のモデルとして、1927年に開催されたジードルング住宅建築展に出展されました。この建築展はミース・ファン・デル・ローエが開催したもので、当時ヨーロッパで注目されていた17人の建築家が招集されました。そのなかには、バウハウスを開設したヴァルター・グロピウスや、ベルリンのモダニズム公共住宅を設計したブルーノ・タウトなども含まれていました。ミース・ファン・デル・ローエは、建物の条件として堅牢かつ機能的であることと、労働者のニーズを満たし、平屋根であることなどを求めていました。

従兄弟と共同で設計した現代住宅のモデル

ル・コルビュジエは、自身の従兄弟であるピエール・ジャンヌレと共同設計を行い、若いスイス人製図技師アルフレッド・ロスが現場監督をつとめました。2人が設計した一世帯用住宅と二世帯用住宅の建物は、大きな注目を集めました。建物は立方体に近いシンプルな形をしており、「ピロティ」とよばれる高床式の構造によって、まるで地面から浮かび上がっているかのように見えます。ラーテナウ通り側から住宅へ入る際は、まず外階段を上がり、その先のテラスを通って玄関へ向かいます。この動線は、ル・コルビュジエが重視した「建築的プロムナード」の考えを表しています。建物の中を歩きながら、次々に変化する空間や景色を体験できる設計手法です。建物の内部にはらせん階段が設けられ、居住空間や屋上テラスへと移動できるようになっています。

ル・コルビュジエからの現代的な暮らしへの提案

大きな吹き抜けの居間、壁が少なく可動式の設備や間仕切りによって自由に変更できる室内空間、屋上庭園、造り付けの家具、そして大胆な色使いの外壁など、ヴァイセンホフ・ジードルングの住宅にはル・コルビュジエ建築の特徴を見ることができます。ル・コルビュジエはこの住宅について、「ここには現代的な暮らしへの提案がある。人々が一日の大半を過ごす居間こそ、広々とした空間や十分な光が必要なのだ。一方で、短時間しか使わない部屋については、従来の施工規則が求める広さは過大であり、建設費や建築規模の面でも無駄が多い。そうした空間は必要最小限にするべきである」と述べています。

執筆協力者PROFILE

高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。
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兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。
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