聖ヴィート大聖堂
チェコ最大級かつ最も重要な聖堂。歴代の王・王妃がここで戴冠した

見どころDATA

円形教会堂から始まる大聖堂の歴史

「聖ヴィート大聖堂」は、プラハで最も大きく重要な教会です。ここでは礼拝のほか、多くのボヘミア王や女王の戴冠式、そして葬儀が執り行われてきました。現在の聖堂は3代目の建物で、最初のものは、929年にヴァーツラフ公によりプラハ丘陵の要塞に創設されたロマネスク様式の円形教会堂でした。その後、971年に聖ヴィート大聖堂参事会が、さらにその2年後にはプラハ司教区が設立されたことで、プラハ城と首都中心部にあるこの教会堂の重要性が高まっていきました。1060年には三廊式バシリカ(内部が3つの空間に区切られた建築)に建て替えられ、最初の円形教会堂の5倍もの規模を誇るようになったのです。

フス戦争による中断を経て完成まで585年

1344年、ローマ教皇クレメンス6世の教皇勅書により、聖ヴィート大聖堂を中心とする大司教区の設置が認められます。同年、ボヘミア王カレル1世であり神聖ローマ帝国皇帝カール4世の命を受けて、ゴシック式大聖堂の建設が開始されました。最初に建築を担当した建築家マティアーシュ、そしてその後を継いだペトル・パルレーシュによって、礼拝堂に囲まれた内陣や聖ヴァーツラフ礼拝堂、黄金の門、大南塔の下層部分が完成していきました。しかし、1419年から1434年にかけて起こったフス戦争によって建設は中断され、その後何百年もの間、未完成のまま取り残されることになります。19世紀後半に入ってからようやく工事が再開され、1929年、大聖堂は着工から実に585年もの長い歳月を経てついに完成し、厳かな聖別式を迎えたのです。

聖ヴィート大聖堂
ゴシック様式の大聖堂は、フス戦争などによる中断を経て1929年に完成・献堂された(©Walter_D/Adobe Stock)

国王の戴冠式や葬儀の舞台となった

聖ヴィート大聖堂では、これまでに多くの国王の戴冠式、そして葬儀が執り行われてきました。1836年、ここで最後に戴冠式を行ったのは、ボヘミア王フェルディナント5世です。その後の王たちはこの大聖堂で戴冠式を行いませんでしたが、権威の象徴である玉座は、21世紀初頭まで大司教の椅子とともに司祭席に置かれていました。また大聖堂は、チェコの聖人や国王が眠る墓所でもあります。チェコの聖人である聖ヴァーツラフ、プラハの聖アダルベルト、ネポムークの聖ヨハネのほか、聖ヴィートや聖ジギスムントといった外国出身の聖人も祀られています。地下にある王家の墓所には、カール4世、ヴァーツラフ4世、ラディスラフ・ポフロベク、イジー・ス・ポジェブラト、ルドルフ2世の石棺が安置されており、14人のチェコの王子や国王がここで永遠の眠りについています。

大聖堂内部の歴史ある美術作品

聖ヴィート大聖堂内部には、鮮やかなステンドグラスの窓があります。その制作年代は幅広く、14世紀~20世紀のものが存在しています。特に有名なのは、アルフォンス・ミュシャが手掛けたステンドグラスです。大聖堂完成後の1931年に北側の身廊に設置されました。中央に聖ヴァーツラフとその祖母聖ルドミラ、スラヴ人宣教師の聖キュリルと聖メトディウスの生涯が描かれています。大聖堂南側の入り口である「黄金の門」には、14世紀に描かれた「最後の審判」のモザイク画が残されています。また、大聖堂北側の2階、旧宝物庫の窓には、1360年頃につくられたゴシック様式のトレーサリーがあります。大聖堂は18世紀にプロイセン軍の砲撃で被害を受けて、中世からのオリジナルの要素が多く失われたため、このトレーサリーは現存する数少ない中世の窓装飾です。

ステンドグラス
チェコの画家アルフォンス・ミュシャが手掛けたステンドグラス(©Andrea Izzotti/Adobe Stock)
ステンドグラス
身廊から内陣・主祭壇を望む。奥は内陣部のステンドグラス(©kirill_makarov/Adobe Stock)

執筆協力者PROFILE

高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。
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兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。
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