区画によりデザインされた幾何学模様の大庭園
タージ・マハルには、皇帝シャー・ジャハーンと建築家や造園家の革新的な取り組みが見られます。そのひとつが、四分割された庭園の中央に霊廟を配置するという従来の様式ではなく、ヤムナー川沿いの北端に配置したことです。これにより、タージ・マハルの景観に奥行きと遠近感が生まれ、その壮大さが際立つ工夫がなされています。霊廟前に広がる大きな庭園は、ペルシア、ティムール朝の庭園様式の影響を受けたもので、2本の主要な通路によって4つの区画(チャハル・バーグ)に分割されています。各区画はさらに狭い十字形の通路によって細分化され、16の小区画が形成されています。そして庭園全体は、すべての小通路とつながる通路で囲まれています。このようにして作り出された幾何学模様の庭園は、初期ムガル建築装飾の特徴です。
庭園を満たす水と噴水の施設
庭園中央の通路の交差点には、白大理石の高台があり、その上には5つの噴水がある装飾的な池があります。庭園において水は極めて重要であり、歴史家ムハンマド・サリーフ・カンボは、「この池には天国の預言者ムハンマドが神から授かった川の水が満たされており、信者はここで喉の渇きを癒すことができる」と賛美しました。天国には東西南北の四方に向かって流れる4つの川があり、それぞれが水、乳、ワイン、蜂蜜の川であるとされています。庭園には、水道橋を通してヤムナー川から水が供給され、西壁の中央まで水が運ばれた後、そこから陶器製のパイプを通して分配されていました。川からの取水口は現存しないものの、当時の水道施設は西壁の外側に位置し、今もなお当時の設計がそのまま残っています。現在は廃墟となっている貯水槽には、かつて滑車に取り付けられた動物の皮製の桶で水が汲み上げられました。この滑車は牛が回すペルシア式の車輪によって巻き上げられていました。3つの貯水槽に貯められた水は、壁伝いに通されたパイプから庭園の通路の水路へと流れていきます。壁の高さは約9.47mあり、この落差によって生じる水圧で噴水から水が吹き上げられ、庭園の各区画に水が満たされました。中央の噴水には、銅製のパイプが主給水管に接続されていました。1867年に最初の修復を行ったロウラット大佐の記録によると、陶器製のパイプは地下約1.8mの堅固な石積みの中に埋め込まれていたとされています。
執筆協力者PROFILE
兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。
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兵庫県出身。中学3年生の夏休みの台湾ひとり旅をきっかけに、旅行先の歴史・景色・料理など、世界を知る魅力のとりこになる。「世界遺産を学習して見て感動して」をモットーに活動。全国通訳案内士の資格も有し、日本の魅力も発信している。
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